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2011年 03月 26日
感想_名前のない少年、脚のない少女
感想_名前のない少年、脚のない少女_b0130850_1114336.jpgいつだって少年は救いを求める。『名前のない少年、脚のない少女』3月26日公開。ミスター・タンブリンマンというHNでネットに投稿を続ける少年。その行き場のない想いは、恋人とともに心中した少女へと向けられていた。小さな村で少年に残された喪失と痛み。彼を救うものとは、なんなのか。
映画『名前のない少年、脚のない少女』公式サイト

なんてセンシティブ。なんてリリカル。ブラジルからこういう映画も出るんだ〜という驚きが。少年の、少女の、ゆらぎをとらえるような、なでていくようなカメラで、台詞は最小限、映像で語りかけてきます。ストーリーラインは見えづらいけれど、徐々に徐々にうっすらと感じられてくるそれは、少年たちが死と出会うことで知る痛み。そして、そこから前に進むために必要なもの。

つまりは通過儀礼というやつなのかもしれない。多くのティーン(に限らないか)は、早い遅いの差こそあれ、いろんな形で死やそれに類する痛みを経験する。そしてなんらかの形でそれを受容し、乗り越えていかなくてはならない。救いは、家族の温かさか、友人との絆か、はたまた恋なのか、なんなのか。劇中で明確な答えが示されるわけではないけれど、終わった後に残る手触りはほんのりと人の温もりを感じさせて、未来への道もわずかに見えたように思う。

タイトルのインパクトがすごいけど、これはあくまでメタファーで、実際に脚のない少女が出て来るわけではなし。映像とともに、音楽のチカラも存分に活かされた青春映画。『リリィ・シュシュ』のような詩的なものが好きな人にはすごく刺さるかもしれません。

by april_cinema | 2011-03-26 00:00 | Starter


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