2011年 04月 02日
一般化しづらい。『SOMEWHERE』4月2日公開。売れっ子俳優のジョニーはハリウッドの名物ホテルで自堕落な生活を送っていた。女をはべらせ、酒を飲み、パパラッチを気にして。ある日、別れた妻レイラと暮らす11歳の娘クレオがやってくる。レイラがしばらく家をあけるため、久しぶりにクレオと生活をしはじめたジョニーは、自分がいつのまにか失ってしまったものを意識しはじめる。SOMEWHERE 待望のソフィアの新作~! 彼女らしい空虚さとか孤独感を、今度は男性目線を真ん中に置きながら撮ってきたけど、娘の視点もあるし、わりと誰かにスポットをあてたというよりは、どこにでもある親子の話として俯瞰している印象。とにかく台詞は少ない。冒頭から謎の周回を続けるポルシェを定点観測していたりね(これはラストとつながる映像で印象的)。今までのガーリーな視点からは脱しているように思うのだけど、でもやっぱりガーリーなムードは全編を覆っているというソフィアリズム。 本当に淡々とジョニーの暮らしを切り取っていく。自分の部屋に出張ポールダンサー呼んだり(そんなのいるのかという驚きよりも折りたたみポールがあるなんて!)、酔って階段から落ちて手首怪我したり。時々くるメールは、おそらく捨てた女からの「お前サイテー」系。最初はまるで気にしていなかったのが、クレオといるうちに本当に自分がダメ男のように感じ始めているのがおもしろい。わかりやすい変化があるわけじゃないのに、後半になってふと父と娘のもやもやが浮き出るような気がするから、それこそソフィアのディレクターとしてのセンスなんだろうなー。カメラもよかったし。チラシのビジュアルにもなってるプールのシーンはやっぱりぐっとくるんだよなー。なんでだろ。 ただ、あくまで主役がハリウッドのセレブリティなわけで、いくら一人の男であり、一人の父だと言っても、そっくりそのまま感情移入というわけにはいかねっす。普遍的感情だとしても、一般化するには世界が違いすぎるっつーの。あんなふうな派手な遊び方できるやつがどこにいるんだっつーのだし、自堕落にしていても仕事がもらえるわけじゃないし、イタリアで表彰されることもないもの。でもま、感情をなかなか見せなかったふたりが、涙するシークエンスは一気に惹きこまれ、あてもなく堂々巡りを繰り返していた(冒頭のシーンはそのメタファーかな)ジョニーも、どこかはわからないけど、自分の足で前に進みはじめるラストもクールでした。 娘役のエル・ファニング、だいぶ大きくなったね。ブタっ鼻になって美少女路線からは少し外れた感もあるけど、女子的にはこれぞ理想の少女、って感じらしいっすね。この先どうなるんでしょ。お姉ちゃんは美人化が進行中とお見受けしますけれども。
by april_cinema
| 2011-04-02 00:00
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