2011年 04月 16日
これまた知られざる歴史。『戦火のナージャ』4月16日公開。1943年、スターリンは革命の英雄でありながら自分に背いたコトフの捜索を命じる。記録上は死んだとされているコトフだったが、彼は生きていた。そして離ればなれになった娘ナージャもまた戦地を彷徨いながら、父を探し求める。 映画 戦火のナージャ オフィシャルサイト ホロコーストが題材になっているのはよく見るけれど、ソ連とドイツの戦いにフォーカスした作品を見るのは初めてだったかも。ていうかそもそも世界大戦の中でこの戦いをイメージすることなかったな。でもよくよく思い返してみればソ連もモスクワまでは侵攻されたんだっけ。てことは壮絶な撤退戦があったんだろうし、この映画の世界もリアリティがあります。ドイツ軍によるひどい虐殺、蛮行などが次々と映し出されてゆく。 ストーリーがちょっと読み解きづらい。コトフの物語、ナージャの物語、そしてコトフを追う大佐の視点があるんだけど、年代が微妙にずれているため、どういう順番で起きているのかがよくわからなくなる。1941年と43年なんだけど、6月8月10月…てのが、順列なのかシャッフルされてるのかもうまく把握できなくて…。なので最初は混乱してしまったんだけど、あまり線として見ることよりも1つひとつのシーンを焼き付けて行くことのほうが重要なんだと思った。父が実際に体験する本物の戦場。それも負け戦。そこは血が流れ想像を絶する現場。そしてナージャが行くのは戦争に巻き込まれる市民の視点。非戦闘ゾーンで銃撃され、民間人が乱暴され、時には虐殺をされる。さらに驚愕のラストでは、死に行く兵士の切なる願いが、戦争の無惨さをとことん突きつけて来る。 ロシア映画史上、最高額の制作費をかけたというだけあって、相当な戦争スペクタクル。生々しい映像は正視するのもなかなかつらいものがあります。監督の前作『太陽に灼かれて』もおさえておけばよかったな。『戦火のナージャ』の続編もすでに進行しているというし。そういうのをまたいで俯瞰すると、もっと違ったものが見えてくるのかもしれません。
by april_cinema
| 2011-04-16 00:00
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