2011年 04月 23日
アニメでこんな…! 『メアリー&マックス』4月23日公開。オーストラリアに暮らす8歳の少女メアリー。額にアザがあり父母に構われない彼女はふと浮かんだ疑問を、電話帳で調べた誰だかもわからないアメリカ人あてに手紙でぶつける。ニューヨークに暮らすマックス44歳。アスペルガー症候群を患い孤独なユダヤ人である彼のもとにある日1通の手紙が届く。戸惑いながらも書いた返事が、20年にも及ぶ心の交流の始まりだった。 __映画『メアリー&マックス』公式サイト__ まず謝りたい! アニメといえば、カラフルで楽しい。しかもクレイアニメともなればほっこり美談がつづられるんだろう。そんな先入観にとらわれてたことを!! そういうポピュラーなアニメ作品とは一線を画する、いや、まったく別物といっていい作品でした。オーストラリアのメアリーの世界はセピア調だし、マックスの住むNYはモノクロ。一部赤を利かせたりはしてるけど、最後までその世界は変わらず、交わりもしないのは驚き。これは彼女たちの世界の色なんだろう。メアリーの世界はなんだか古ぼけてパッとしない。マックスの世界は文字通り真っ黒。どちらも、いわゆる普通ではないんだ。 これは、実写で撮ったほうが良かったんじゃないか?って思うくらいシリアスなテーマ。メアリーとマックスは、手紙を通して交流していくが、簡単に打ち解けるわけでもないし、安易に変化成長を遂げたりはしない。人間関係ってそんなにイージーにいくもんばかりじゃないし、そうそうわかりあえるもんでもないんだよね。でもそんな人と人が擦れ合うからこそ関係性ってのは生まれて、それは少しずつ、少なからず影響を与えてく。 出てくる人物がみんなoddな感じ。監督は障害やマイノリティを登場させて、それを広め誤解を解くということをひとつの目的にしているみたい。実際にメアリーは年をとり、アザもとり、コンプレックスなど取り去ってしまえばよいのだ!とばかりにマックスに干渉を始める。その試みはひどくマックスを傷つけ困惑させるわけだけど、ここに障害というものの難しさや、単に人と人がかかわり合う難しさってのはあるんだろう。確かにメアリーはマックスを傷つけた。しかし、それはするべきではなかったことなのかどうかはわからない。結果的にこの軋轢があったからこそ、ラストの展開がありえたんだと思うし。なにが誰を傷つけるのかは、本人にもわからないのだ。メアリーの行為がマックスを救う可能性がなかったとは思わないよ。 それにしても、最後まで淡々と、代わる代わるオーストラリアとNYを描いていくスタイル、明るさはわずかで色調が暗いというテンションにけっこう参ってしまいました。ネタもシリアスだっただけに、個人的にはこれは実写で観たかったな、という気分。感情と理性でまったく違う反応が出ました。そんな映画だと思います。
by april_cinema
| 2011-04-23 00:00
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