2011年 04月 30日
もうちょい華やかでもよかったのに。『ザ・ホークス ハワード・ヒューズを売った男』4月30日公開。売れない作家のクリフは、なじみの編集者アンドレアにある商談を持ちかける。それは、ほとんど公に姿を現さない伝説の大富豪ハワード・ヒューズから自伝執筆の許可と独占インタビューをもらったというもの。もちろんそれはデマだったが、クリフのさまざまな偽造、ねつ造を出版社は信じ、出版へ向けて動き出す。 映画『ザ・ホークス』公式サイト あの伝説の大富豪ハワード・ヒューズ(『アビエイター』のあの人。観ていない…)の自伝をホラとハッタリで描こうとした男のドタバタ劇のちシリアス劇。なお話。面白かったよ、ネタとして。事実は小説より奇なり的なおかしな人物を描いたというところで、『インフォーマント!』とかと同じ路線。こんなことってある&こんな人っているんですかー!って展開が次から次とやってきて飽きさせません。 なんせ逸話の多いとされるハワード・ヒューズがターゲットなもんだから、公文書を盗撮したり、私文書を盗み出したり、あの手この手。ニクソンとの黒い関係にまで手を出していく必要があるわけで、そのあたりのクリフの行動の突飛さと、ハワードの持ちネタのバラエティとかが掛けあわさってくのが興味深い。さらに出版社を騙すためにも自分でインタビュー録音したり、手紙の筆跡を真似したり。それが鑑定を通しても信用させることに成功したんだから、そんなことってあるのね、って感じ。今じゃ考えられない1971年だからできたってことだろうけど。寛容な時代だぜ。 当然、話が進めば進むほどに自分が追いつめられていくんだけど、いよいよというところでシリアス劇への微妙な転調が。ハワードになり切ろうとしすぎたクリフは精神的にいかれはじめ、見えないものが見えてしまうように。妻にも協力者だった友人にも愛想を尽かされたりして、あららでトホホな結末へ。それでも今なお生きているらしいけどね、クリフ。ここまでいくと盛りだくさん過ぎる気までしてきた。 てわけで、話は面白いのになんか展開とか見せ方がすごい地味というか、数あるネタを消化するのに手一杯な感じ。こういうのはデビッド・フィンチャーがやったら面白かったんじゃないかなーって思うんだけどね。せっかくの題材だけに、違う演出、脚色を観てみたかったなーというのが印象でしたわ。
by april_cinema
| 2011-04-30 00:00
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