人気ブログランキング | 話題のタグを見る
2011年 05月 07日
感想_4月の涙
感想_4月の涙_b0130850_8375892.jpgこれまた知らない歴史が。『4月の涙』5月7日公開。1918年、フィンランド内戦下。赤衛隊の女兵士のリーダー、ミーナは追っ手にとらえられ、仲間たちとともに暴行を受ける。その多くが惨殺される中、ミーナだけは逃れたかに見えたが、准士官アーロに再び捕えられた。が、アーロは公平な裁判を望み、ミーナを連れその手腕が評判を呼んでいるエーミル判事のもとへと向かった。
「4月の涙」オフィシャルサイト

フィンランドで内戦!? てそんなイメージ皆無だったな。なんでも、ロシアから独立後に、ロシア革命と第一次大戦の影響で起こった内戦らしい。舞台はそんな不安定なフィンランド。寂寥感のある風景が北欧らしさを出しつつ、時代を物語っている。登場人物は主に3人。あまり口を開かずに頑に自らの意志を曲げないミーナと、同じく自分の正義に従って行動するアーロ、そしてふたりの運命の鍵を握るエーミル。

このエーミルが曲者。名判事の評判は噂にすぎず、実際はかなりのクレイジー野郎。罪人たちを殺しもすれば、高慢な態度が嫌らしいことこのうえない。でも、エーミルもまた戦争の被害者なのだろうことは描写の中で伺える。彼の信じていたものや、まっとうな精神は、異常な戦時下に損なわれてしまったに違いない。そしてそんな彼に翻弄されるのがミーナとアーロ。この切なさが映画全体を貫いている。ふたりは極限状態といえる状況の中で想いを寄せ合うのだけど、その想いはいろんな外的要因によって届くことがないという。

全体的には地味だし、重い歴史と哀しいエピソード。台詞は多くないけど、表情や仕草からそれぞれの想いを描いた演出はチカラがあったと思う。キャストたちの力強さと、それをうまくコーディネートする脚本、そしてディレクションにも見応えがありました。

by april_cinema | 2011-05-07 00:00 | Starter


<< 感想_ブラック・スワン      感想_四つのいのち >>