2011年 06月 04日
痛切すぎるぜ。。『バビロンの陽光』6月4日公開。フセイン政権が倒れた2003年、少年マーメッドは、おばあちゃんと2人、歩いて旅をしている。1991年、父親は強制的に兵士にとられ、母は亡くなった。父を探し2人はヒッチハイクをし、満員のバスに乗り込み、刑務所や集団墓地を探しまわる。イラクの負の歴史が残したものとは…。 映画『バビロンの陽光』公式サイト 湾岸戦争から20年、その傷跡はまだあまりにも生々しいんだな。タイトルからは、もう少し希望のある物語なのかな、と思っていたけど、ちょっと直視しづらい現実をドキュメンタリーのように切り取った作品でした。ちょっとしたロードムービーではあるけど、映し出される砂漠や廃墟、刑務所、そして集団墓地の様子はあまりにも陰が落ち過ぎていて。暢気に暮らしてるオレには重過ぎる世界だったな。 湾岸戦争という名前は知っていても、そこで何が置きていたのか、今何が残されているのかなんてこれっぽっちも知らなかったよ。100万人もの人間が行方不明のままで、集団墓地に眠る遺体の多くが身元不明のままだという。ラストで明らかになるそのデータは、90分の旅路とあわさってあまりにも厳しい現実を投げかけて来る。ただ、データをデータとして最後に提示するんじゃなく、ストーリーの中に落とし込めてたらもっと映画的味わいは増したかもしれない。 アーメッドとおばあちゃんの例はあまたある悲劇のごく一部でしかないんだろう。悲劇の数を数え上げたらキリがないほどなんだろう。クルド語しか離せないおばあさん。そのあたりの背景にも複雑なものがありそうだ。ムサの行為にも消せない過去が潜んでいるようだ。その中でアーメッドは、無邪気ながらに成長を見せる。それでも、結末はシビアだぜ。本当にひとりぼっちになってしまった彼は、いったいどんな人生を送るんだろう。イラクにはアーメッドがどれほどいるというんだろう。 人の命はあまりに軽い。ちょっと簡単に感想を語れない映画だった。
by april_cinema
| 2011-06-04 00:00
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