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2011年 07月 02日
感想_蜂蜜
感想_蜂蜜_b0130850_12304470.jpg前作、前々作観たい。『蜂蜜』7月2日公開。深い森に暮らすユスフとその両親。養蜂家である父とともに森に入るのがユスフの喜びだった。ある夢を見た日から、ユスフは吃音となってしまう。そして忽然と消えた蜂を求め、より遠くの森へと向かう父ヤクプが旅立つと、とうとうユスフから声が失われてしまった。戻らない父、不安を募らせる母、そしてその狭間でなんとか大きくなろうとするユスフ。その森の奥には、なにがあるんだろう。
映画『蜂蜜』公式サイト The Yusuf Trilogy

幻想的〜。なんだか短編ファンタジーを夢うつつで見ているような印象の映画。台詞は少なく、風景と表情でほとんどを見せる。説明はないから、何が起きているのか、何の話をしているのか、すぐにわからないところも多いのに、なぜか退屈はしない。それが映像と演出の力なのかなぁ。この手の映画は眠くなってもおかしくないんだけれど。

なぜ、を問いだすと止まらない。なぜ声は失われたのか、なぜ蜂は消えたのか、なぜ父も消えたのか。ユスフの見た夢とはなんだったのか。父に関しては冒頭で明示されてはいるものの、それにしたって因果といえるものはなくて、やっぱりわからない。わからないけど、不思議ないい雰囲気はあるんだよな。蜂はなにを暗示して、森はなにを語りかけているのか、夢はいったいなにをもたらしているのか。たとえば蜂は天然資源で、父は現代人(テクノロジー)だとして、現代の環境問題となぞらえるのは難しくないけど、そういうことじゃない気がするなー。むしろ少年の成長とか、イニシエーションとして捉えるべきなのかもしれないな。ユスフは嫌いなミルクを口にする。父が戻ることを願いながら。そんな小さな一歩が温かく描かれていて。

この映画って、すでに公開されている、ユスフの大人時代を描く『卵』、青年期の『ミルク』に続く第三作でありながら幼少期を描くという逆方向の物語。そのすべてを読み解くには、前二作を観る必要があったのか、なかったのか。どちらにしても、おそらくそんなに簡単に答えらしきものにはたどり着かない気がするし、それを抜きにしても美しく余韻のある映画だったと思うわ。『卵』『ミルク』の連続上映もするみたいなので、なんとか見に行きたいですけどー。

by april_cinema | 2011-07-02 00:00 | Starter


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