2011年 07月 09日
感想_海洋天堂
b0130850_0525251.jpg素直にいいと言おう。『海洋天堂』7月9日公開。自閉症である息子の大福(ターフー)と海に身を投げた王(ワン)さんだが、泳ぎの得意な大福の力で二人は助かる。ずいぶん前に妻を亡くしている王さんは、末期がんに侵され、ひとり残すしかない大福の未来を憂いてのことだった。あらためて大福を一人で生活できるようにするために奔走する王さん。父としてできることの、すべてを。
映画|海洋天堂 Ocean Heaven|オフィシャルサイト

ジェット・リーがアクションを捨て、息子のために必死に生きる父親になりきっております。これ否定しちゃあかんだろ系のいい話。視線が優しく、善人たちがつむいでいく物語は、素直に胸に届く。障害を持つ子供の話ってのは、今までにいくつもあったし、これもその系譜だし、もう少しひねりだったり違うなにかってのは求めたいところもあるけれど、そういうのを抜きにしてこの1本だけを絶対評価するならば、優しくていい映画だった、ってこと。それに尽きるかなー。

いくらでも同情を引いたりお涙頂戴にもふれるけど、そうはせずテンポもよく進めたのはよかったな。ときどき唐突に思えたりするところもあったし、鈴鈴ちゃんとの初恋のくだりはやや中途半端な入れ方だった気もしなくはないけど、余韻は残ったしあれがないと重い感じばかり強くなっちゃうからいいのかな。あと、自立のための練習をするのがさすがに遅すぎるだろうと。バスの乗り方、服の脱ぎ方、そのくらいはもっと早くからやってて然るべきだった気がするけど、それは外野の勝手な言い分ですかね。でもなんだかんだで最後の、水族館の館長さんの申し出にウルリと来ましたわ。全体に水がキーモチーフになっていて、冒頭の身投げシーンはもちろん、水族館で悠々と泳ぐ大福や、幼き頃の記憶の砂浜などポイントで水が出てくる。美しく移ろいやすくすべての源である水。母なる海。そんなメタファーが込められているのかも。

それにしてもジェット・リーは石坂浩二みたいに見えつつも、これぞ父親のあるべき姿ってのを体現してくれてたわ。王さんの誠意と愛情こそが、周囲のすべてをいい方向へと導いたわけで。なんでも彼はここ数年チャリティーに非常に力を入れていて、みずから基金を立ち上げたりしていたそう。しばらく仕事を封印して。今作は復帰作かつ、ノーギャラで出演を決めたとか。なんて立派な人物なんだ。。そして大福になりきった役者さんもお見事でした。あれも簡単にはできない芝居だったと思います。
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by april_cinema | 2011-07-09 00:00 | Starter


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