人気ブログランキング | 話題のタグを見る
2011年 07月 30日
感想_おじいさんと草原の小学校
感想_おじいさんと草原の小学校_b0130850_9232494.gifオレも学ばねば! 『おじいさんと草原の小学校』7月30日公開。独立から数十年が過ぎた2003年のケニア。小学校が全国民に無料化されるというニュースが国中を駆け巡る。大挙して押し寄せる子供たちを必死に捌いている小学校に、一人の老人が現れる。彼の名はマルゲ。学校は老人である彼の入学を認めないが、マルゲは何度も何度も現れ、ついに校長のジェーンが根負けし、迎え入れることに。80歳を越えた小学生のニュースは、世界中を駆け巡り、それは以外な波紋を呼んで…。
映画『おじいさんと草原の学校』公式サイト

こんな実話があるんだな〜! 84歳で小学生ってのはギネスブックにも載った世界最高齢小学生だそうな。それだけでもいくらでも映画になりそうだけど、そんなに単純ではなかった! マルゲが抱えている過去は凄惨としか言いようがない。それは、ケニア独立のための戦いの過去。彼は部族の戦士として戦うが、捕えられ、投獄され、非人道的拷問の数々を受ける。そんな過去を乗り越えながらも、ただ一通の手紙を読むために文字の読み書きを学ぼうと学校へと足を向け、子供たちと並んで必死に取り組むその強く哀しい意志。これがスクリーンに焼き付いているんだわ。

映画では描かれていないけど、世界から注目を集めた後に、マルゲはNYでアフリカでの教育の重要性を説く講演を行ったそう。それはものすごい説得力を持って伝わっただろうことが予想できるくらいの、彼の強い意志とか、国や民族への誇りってのが伝わる作品だったな。演じたオリヴァー・リトンドは、地元のニュースキャスター出身だそう。ハリウッドならモーガン・フリーマンがやるに違いないこの作品でカリスマ性のある強い男を完璧に背負ってたと思うよ。ジェーン役のナオミ・ハリスも気丈な女教師を見事に演じてましたね。

プラスして特筆したいのが、キラキラした子供たちの様子。実際の小学校の生徒を相手に撮影したそうだけど、とにかくピュアなあの目と表情がたまらなく魅力的で。彼らがアフリカの未来であり、希望であるってことを、マルゲは感じていたに違いないし、それを尊重するディレクションだったと思う。

軽々しいお涙頂戴ドラマにはせず、かといって重くシリアスな歴史だけに偏ることなく、丁寧にケニアの明るい未来を示した良作。もう少し掘り下げてもいいんじゃないかな、ってくらいわりとライトにまとめられてたけど、気持ちよく席をたてる1本でした。

by april_cinema | 2011-07-30 00:00 | All-Star


<< 感想_モールス      感想_モンスターズ/地球外生命体 >>