2011年 07月 23日
怪獣出るけど怪獣じゃない! 『モンスターズ/地球外生命体』7月23日公開。6年前NASAが探査した地球外生命体。そのサンプルはトラブルによりメキシコに落下し、モンスターたちはその地で繁殖してしまった。現地は危険地帯として隔離され、アメリカ、メキシコ両国による封じ込めが今も行われている。スクープを求めて現地入りしたカメラマンのコールダーは、しかし社長の令嬢であるサマンサをアメリカに連れ帰らなくてはならなくなるが、予想外のトラブルに見舞われ危険地帯を行くことになる。彼らがそこで観たものとは。 7月23日公開 映画『モンスターズ/地球外生命体』公式サイト カンヌで評判を呼んだという低予算映画。その実績が認められて新人監督のギャレス・エドワーズは新しい『GODZILA』の監督に抜擢されたとかなんとかで話題の1本。もう見るからにパニック映画なタイトルとビジュアルだったけど、まるで全然違ったよ。この手のジャンルに新しい風を吹かす意味では、『第9地区』と並べてみてもいいんじゃないでしょうか。 てことで中身、モンスターはちらちらと姿を現すんだけど、なかなか簡単には全貌を表さないのです。モンスターよりも、モンスターがいることが前提になっている土地があるということが重要で、彼らの繁殖にあわせて危険地帯の隔離とか、国境越えのルートが変わったりという設定がリアル。子供たちもガスマスクをいつでも装着できるようにしてたりね。で、ポイントはモンスターの目的がいまいちはっきりしなくて、無闇やたらに人間を襲うばかりではないということ。街も破壊したりするんだけど、攻撃的ではどうやらないらしい。にもかかわらず人間たちは彼ら地球外生命体を排除するためにミサイル爆撃をし、民間に犠牲者を出したりしている。モンスターが繁殖する森には毒をばらまいてこれまた自然を破壊していたりもする。これはアメリカ批判も露骨に入っているんだな〜。 モンスター映画の新しい形としての切り方は非常に興味深かったんだけど、ではそれを背景にして描かれるコールダーとサマンサの物語が弱かったのが残念。コールダーの過去とか、サマンサのおそらく気に入らないフィアンセとか、次の展開を匂わせるようなエピソードをちらつかせるわりにはそれがきちんと集約されないし、そもそも地球外生命体のいる世界っつー背景とうまく絡んでないんですよ。麺とソースがちぐはぐなパスタとでも言うんですかね。結局この2人の物語には必然性を感じませんでした。ちなみにこの2人はカップルで、撮影後に入籍したそうな。 てことで、雰囲気は良かったしビジュアルセンスはあると思ったけど(監督が映像もポストプロダクションもやったそう)、ストーリーテリングはもうちっと頑張ってほしかったぜ。『ゴジラ』はその辺が課題になるっつーことすかね。
by april_cinema
| 2011-07-23 00:00
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