2011年 08月 27日
既視感あるけどいい話。『神様のカルテ』8月27日公開。松本の病院に勤める栗原一止。今日も限られた人手で、大勢の患者たちを受け入れる。ある日、一止は大学病院に誘われる。最先端の環境での研究は、将来的に大勢の命を救うことにつながる大事な仕事。一止は、迷う。そんなときにやってきた一人の初老の女性患者。彼女は末期ガンで別の病院に見放されながら、なぜか一止を頼ってやってきた。 映画『神様のカルテ』公式サイト 病院が舞台、医者が主役となると、どうしてもある程度規定路線てのはある。究極的に言えば人の命と向き合うことで、あとはキャラクターや環境が違う程度で、本質的なテーマに大差はない。言い換えればそれが人間にとって普遍のテーマだってこと。そして命を前に苦悩し葛藤する姿は、多くの人が抱えている問題にもつながることであり、それが胸を打ち、心を捉えるんだろう。この物語の舞台は、松本市。地方都市の医療環境の問題がフックになり、その中でひとりの医師の姿が描き出される。 これを否定したら人でなしな映画なことをさておき、ちょっと淡々とし過ぎていたかなぁ、と思う。大泉洋ルックな櫻井君はいい人感が滲み過ぎてるし、あおいちゃん扮する妻の榛名も天使すぐる…。原作(未読)の設定なのかもしれないけど、デフォルメされ過ぎてて、人間臭さみたいなものをあまり感じられなかったわ。病院という現場のリアリティも。この夫婦にして、最後のご褒美はあまりにもファンタジー過ぎる。というかそうか、この映画は一種のファンタジーか。 いちばんのハイライトは、学士が御嶽荘を去るシークエンスだったろうな〜。あそこの一瞬、ファンタジーは終わりを告げ、現実が顔を出す。誰もが出会い、そして去ってゆく。それは古今東西より定められた絶対的ルール。ある種のモラトリアムの中にいた一止が、別れの意味を体験してまた動き出すというのは感情の流れも丁寧に描かれていてよいシーンだったと思いました。突然の別れ、不本意な別れ、永遠の別れ、どんな形にしても出会った人はいずれ別れなくてはならない。 全編通じて優しさがあふれていて、登場人物はみな魅力がありました。悪者を吊るし上げたりは決してしない、善人だらけのファンタジーだけど、今の時代を少し癒して、少し勇気をくれる映画なのかもしれません。
by april_cinema
| 2011-08-27 00:00
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