2011年 10月 01日
実話とは思えないほど簡単。『天国からのエール』10月1日公開。沖縄で小さな弁当屋を営む陽(ひかる)は、高校生バンドが練習場所のなさを嘆く声を聞き自宅横に音楽スタジオを自作する。使用は無料だが、挨拶をきちんとすること、赤点を取らないことなどが条件。高校生たちは喜んでスタジオを使用するが、陽は病に冒されていた。 映画『天国からのエール』公式サイト 実話だそうです。しかもこのスタジオから実際にメジャーデビューした人もいるという。主題歌を歌うガールズバンドのステレオポニーがまさにそうで、学生時代にこのスタジオを使わせてもらったそう。陽は高校生たちにニイニイとして慕われ、多くの子たちに夢を与えていたそうだ。そう聞くともうなにも言えないっすね。これ以上に感動的な話もないし。 でも。『Life 天国で君に逢えたら』とまるかぶりで、いくらいい話でもそれが映画としていいかどうかって全然別、不思議と。てか、実話の強さだけならドキュメンタリーにするほうがよっぽどいいわけで、映画というフィクションの世界に落とし込むからには、それ相応の見所とかが必要なはず。映画はあまりにもあっさりと話が展開し、ずいぶん簡単に夢は叶い、そして陽は逝ってしまう。そう、カンタンすぎるのだよ、エピソードのすべてが。なんか、陽の人生の描き方も、高校生バンド・ハイドランジアの成長も、どっちもすごく中途半端。もう少し陽の人生に軸をおいて、彼が成し遂げたことのひとつとしてハイドランジアの成長を描いてほしかったなー。バンド内の内輪もめとか、あまりにマンガ的だったし。台風のエピソードもベタすぎる気が…。ラジオ局との折衝も表面ばかりがフィーチャーされてたな。 阿部ちゃんは、陽はきっとこんな感じの人だったんじゃないかって思わせてくれたし、桜庭ななみちゃんは初めてカワイイと思えたから、キャストは悪くなかったと思う。なんとなく最後にはちょっと感動するものもあっただけに、もっともっと深みのある作品にできたのではないだろうか。監督は陽のどこをいちばん大事にしたかったんだろう。結局できごとを羅列しただけで、彼が考えたこととかは見えてこなかったよ。亡くした友人へのレクイエムなのか、沖縄だからこそのコミュニティなのか、なんにしてももっともっと苦悩や葛藤がいろいろあっただろうに。そのあたり、陽の人間性がもっと強調されてるとよかったな。ちょっともったいない気がしたなー。
by april_cinema
| 2011-10-01 00:00
| 6th-man
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