2011年 10月 29日
家族の映画だ。『ちづる』10月29日公開。赤崎監督の妹ちづるは、1歳半で自閉症と診断され、3歳のときに知的障害があることがわかった。ちづるが二十歳を迎え、赤崎監督は考える。いつからか、妹の話題を避け、友達にも妹の話はしなくなっていたことに。監督は改めて自分の妹にカメラを向けることにした。父は数年前に亡くなり、母と兄3人で暮らす我が家とは。 映画『ちづる』公式サイト 監督は大学在学中に、この映像を撮り、映画としてまとめたそう。不肖エイプリルも同じ大学OBということもあり興味を持った1本。障害を持つ妹にカメラを向けたと聴いて、正直なところ自分がどういう感想を持つのか怖かった。そんな抵抗感を持つ時点で自己嫌悪の気持ちが芽生える。でも、予想していたものとは少し違った。 カメラはもちろんちづるを追いかけるんだけど、それと同じくらい彼女の面倒を見て一家を支えてきた母親の姿を映し出す。むしろ、喋っているのは母親のほうが遥かに多く、監督も母親に語ってもらうことで妹の日常とその軌跡を読み取ろうとしているようだ。この作品は、ちづるのすべてを記録し障害を持つ人間と暮らすというのはこういうことですよ、ってことを公表するために撮っているんではなくて、あくまでこれは監督が自分自身と向き合うための記録なのではないかと思った。主観的映像よりも、客観的に家族を俯瞰したいと思ったのではないだろうか。だから、監督もカメラの前に登場するし、またこの製作の中で自らの進路についても考えを新たにしていく様子が描かれていた。そして自身になにかしらの答えを導き出そうとしたんじゃないだろうか。 気づけば小中学校を卒業して以来、障害を持つ人と日常的に接する機会もなくなっている。いくら映像でその世界に触れても、ボクには安い同情しかできないし、当人にしかわからない感情と苦労がものすごくあるんだろうな。こういうときいつも思うんだ。差別をしないように努めることがいいのか、それとも不自然なことをせずに個性という認識で自分に正直に対応するのがいいのか。 なんにしても、赤崎家という家族の形があるということ。同じように日本中に、世界中にもさまざまな家族があるんだよな、なんてことを考えた。なんだか家族と話がしたくなるような気分だぜ。
by april_cinema
| 2011-10-29 00:00
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