2011年 12月 17日
壮絶過ぎて…言葉が……。『灼熱の魂』12月17日公開。母の遺言を聞いた双子のジャンヌとシモン。その内容は父と兄にそれぞれ手紙を渡すようにというもの。しかし父ははるか昔に死んだと聞き、兄の存在にいたってはまったくの初耳だったふたり。困惑しながらも母の過去をたどり、カナダから祖国の中東へと向かう。ふたりが知ったのは、母の過酷な人生と、そして衝撃の運命。 映画『灼熱の魂』公式サイト …………。 言葉を失くさずにはいられない苛烈過ぎるインパクト。まさかそんな展開が待っているとは夢にも思わなかった。レディオヘッドが流れるオープニングから禍々しさが漂い、でもかなり心をとらえる映像。物語にぐいぐいと引っ張られてのめり込んだ先の着地点がそんな結末だなんて。。あまりにも残酷な運命だ。オレには耐えられんぞ。これは決して中東の戦争とか、歴史に対するメッセージではなく、あくまでひとりの女の壮絶な運命こそが主役。 物語を大きく動かす宗教に起因する紛争はショッキングな映像も伴う。それは現代の世界情勢を示唆するというよりは、争いの無慈悲さや、憎しみや怒りの連鎖そのものを憂いているように思う。その中で母が生き続けた理由はただひとつ。生き別れた息子であり双子の兄ともう一度会うため。その純粋で決して折れない強さがまた皮肉な運命を導いたと思うと、気持ちの落ち着かせどころがないんだよな。ハッピーエンドなんてどこにもないし、デッドエンドでもない。「死で物語は終わらない」という台詞が深く深く突き刺さる。 そして、「共にあるように」というメッセージもまたこれ以上の質量はないだろうほどに痛烈。すべての元凶は離ればなれになってしまったことこそにあると、母は思ったのだろう。悔いがあったのだろう。何があっても決して離れるべきではなかった。手放すべきではなかった。そこにどんなルールや障害があったとしても。真実を知らされた双子のこれからには、あまりにも重い枷がついてしまったけれど、母の残した言葉が最後の最後に救ってくれるんじゃないかというかすかな期待を抱きたくなる。というかそうでもないと、どうにも遣る瀬なさ過ぎて。いったいこの子たちはどうなっていくんだろう。続編を期待してしまいたくなる。いや、この子たちに救いがあると言ってほしい。そう思うほどに打ちのめされる内容だったわ。 なんにしてもあらゆる面で半端じゃない熱量を持った作品。強い覚悟で臨まないと打ち砕かれてしまいそうだ。
by april_cinema
| 2011-12-17 00:00
| All-Star
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