2012年 01月 07日
希望と言っていいのか? 『パーフェクト・センス』1月7日公開。それは突然やってきた。急に孤独を感じ涙を流した後、嗅覚を失う。感染症の疑いは低いが、イギリスだけではなくフランス、ベルギー、イタリアなど各地で発症者の報告が。次のステージは突然の飢え、そして味覚の喪失。原因も対処法もわからない世界で出会った、感染症学者のスーザンと、レストランシェフのマイケル。ふたりは少しずつ崩壊していく世界の中で惹かれ合うが、ほどなくしてふたりも発症してしまう。 「パーフェクト・センス」オフィシャルサイト │ 2012年1月7日(土)新宿武蔵野館ほか全国ロードショー 『コンテイジョン』の記憶も鮮明な中でのパンデミックもの。ただしこちらはパンデミックそのものは舞台装置でしかないけれど、原因不明で広まる恐怖という意味では同種のインパクト。しかも内容が恐ろしいのよ。五感が少しずつ損なわれていくというね。嗅覚なしでもまだ生活は守られる。しかし味覚が失われたらどうなる? そして聴覚もなくなってしまうのか? まさかその先も…。という恐ろしさ。徐々に徐々に何も分らないまま進行し、なす術なくあっさりと追いつめられる人類。でもそういう社会的、全体的な枠組みが焦点ではない。 その中で人々、個人はどんな風に行動するのか。婚約者を亡くして以来、決まった恋人を作らなかったマイケル。ろくでもない男ばかりつかまされてきたスーザン。それぞれに孤独を持っていたふたりが奇妙なシチュエーションの中で出会い、特殊な状況ゆえに惹かれ合うラブストーリー。ラブ要素は限定的ではあるけど、描き方がうまいから自然。ユアン・マクレガーとエヴァ・グリーンの演技のよさも大いにあると言えるだろうな。ユアンはこういう良い男but孤独、影あり、という繊細な感じがよく似合う。 それにしても、この世界は希望があると思っていいんだろうか。映画はSFではあるけれど、人類にこの先どんな危機があるかはわからない。この映画と同じにはならないでも、こういう予期せぬ事態にならないとは言い切れない。五感か、なにか別の物を失ったときに、残された感覚を研ぎすませて生きていけるのか。世界は終わると絶望するのか、それとも人生は続くと希望をつなぐのか。後者を映画は示唆しておきながらも、しかし容赦なくシャットダウンされるラスト。うーん、難しいな。 新感覚というべきか。解釈の難しさは残るけど、観客を惹き付ける映画だったな。
by april_cinema
| 2012-01-07 00:00
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