2012年 01月 14日
ラストぶっとんだわ。『月光ノ仮面』1月14日公開。戦後日本、戦死したと思われていた男が戻ってきた。男は、戦前に将来を嘱望され真打ち間近だった落語家・森乃家うさぎ。しかし男は一切の記憶を失っていた。森乃家一門は、なんとかうさぎの記憶を呼び戻そうと小さな小屋の高座にあげるが、うさぎはおかしな行動をとるばかり。そこにまた別の男が帰って来る。彼こそが、本当の森乃家うさぎだった。ここは、ずっと満月の町。板尾創路監督第二作! 2012年1月14日全国ロードショー 映画『月光ノ仮面』公式サイト 淡々と、というよりは、飄々と進んで行く物語で、『脱獄王』に続いて主人公は喋らない男。演じるのは板尾さん自ら。戦後の混沌とした世界で、なぜか月が欠けない磁場の狂ったような場所で起きる不可思議なできごとたち。そもそも、似ても似つかない板尾さんと浅野忠信を間違える元許嫁があるか!というツッコミなのですが、それは月の魔力に狂わされているからという解釈らしい。そういうものか。ファンタジーなのか、ミステリーなのか。 なんだかワケはわからないのに不思議と退屈はしなくて、シュールなエピソードが続くからなのかな。奇行に走る高座があったかと思えば、揚屋の女と穴を掘るシーンもあれば、月夜の晩に現れるのはドクター中松だもんな。タイムスリッパーってそれどゆこと!? かと思いきや戦場の悲惨なシーンも挿入されることでシリアスに引き戻されたりして、いったいこの世界はなんなんだ!と。ひっくるめるとダークファンタジー。ブラックユーモアのほうにくくられそうなところ。 とか思っていたところに、信じられない衝撃のクライマックス。びっくりしてオレは相当目を見開いたに違いない。あまりに強烈インパクトで、これ、人によっては気分を悪くしたりもするんじゃないだろうか。さらに畳み掛けるラストはまた解釈を揺さぶってきますねぇ。 見終わって考えたのは、岡本太郎はやっぱり死んでいるんじゃないだろうかってこと。そんな岡本が死の間際に見た夢が、こういうシーンだったんじゃなかろうかな。穴を掘るのは未来への渇望か、それとも早く楽になりたかったのか。ラストのアレも戦場のそれとリンクするしなー。岡本太郎って名前もなんかいわくありげ〜。とか、とにかく相当シュールな投げっぱなし。解釈自由であり解釈不能。オチてるのかオチてないのかそれすら不明。人にはなんとも薦めづらいところもあるけど、好きな人はけっこうハマるんじゃなかろうか。そんな怪作ですわ。
by april_cinema
| 2012-01-14 00:00
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