2012年 01月 28日
なんとも既視感あるな。『しあわせのパン』1月28日公開。北海道月浦の湖のほとりにある一軒のパンとコーヒーのお店「マーニ」。水縞くんがパンを焼き、そしてりえさんがコーヒーを入れたり美味しい料理を作ったり。愉快な常連さんとともに穏やかな日々が流れている。季節ごとにやってくるお客さんは、それぞれ違った事情を抱えながらも、やきたてのパンをほおばって、それぞれの中のしあわせを見つけていく。春がすぎ、夏と秋がきて、冬も終わる頃、水縞くんとりえさんにも、しあわせがやってくる。 映画『しあわせのパン』公式サイト ふんわりやさしい映画でした。が、なんか難しいよねーこういうのは。一軒の素敵なパンカフェと、そこにやってくる人たちの交流を通して、しあわせの形を考える。とこう書くといい雰囲気だし、実際に言っていることも悪くはないんだ。焼きたてのパンを手で割って、誰かとわけあって食べる。手を強調する描き方はぬくもりがあって良かったし、それが、幸せを見つめ直すことや、その幸せを分け合うことを象徴しているんだよね。シェアするという発想は今っぽくもあるし。だけど、それをリアリティをもって観客に伝えるのって本当に難しい。 つまりリアルとファンタジーの間をどうやって埋めるのか。マーニってある種のファンタジーだと思うの。美人の奥さんと気のいいご主人が、大自然の中でのんびりとパンカフェを営む。物語のハブとしてファンタジーに徹してくれればよかったのかもしれないけど、なんか中途半端にりえさんの背景がぼんやりとだけ語られ、最後のオマケ的プレゼントは読めちゃううえに急に現実的幸福を出すのもヌルく感じる。さらに客としてやってくる人物たちのリアリティが足りない。それぞれが抱えてるものが弱いし、どうしてここに辿り着いたのかもあんまり必然性ないし、感情移入させるには全般かなり物足りなかったなー。淡々とした描写も手伝って退屈したところも大いにあった。 さらに言うと、こういう雰囲気もの、すでにけっこう観てきた気がするんだよね。『食堂かたつむり』『東京オアシス』『スープ・オペラ』とかとか、それぞれテーマは違うけど共通する点があるよね。なんだか邦画ばっかりだな。こういうプチファンタジーに必要なのは、圧倒的なリアリティ。木皿泉がそういうのは抜群にうまいよな。ああいうの、観たいんだよな。 ほかほかパンは間違いなく美味しそうだったけどね。キャストはまあまあのところを揃えてるんだけど、森カンナ×平岡君は悪いけど大根だと思ったよ。
by april_cinema
| 2012-01-28 00:00
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