2012年 03月 24日
笑いが合わね。『僕達急行 -A列車で行こう-』3月24日公開。鉄道大好き小町は、大手企業のサラリーマン。女の子とデートしていても電車のことを考えてしまうのだけど、ある日、九州への転勤を言い渡される。経営に苦しむ鉄工所の2台目・小玉も、電車が大好き。ふたりは偶然に知り合い、同じ趣味を通して結びつきを強める。誠実でまっすぐで、恋にはちょっと不器用なふたりのほがらか各駅停車ムービー! 映画『僕達急行(ぼくきゅう) -A列車で行こう-』公式サイト 森田芳光監督の遺作となってしまった本作。森田監督の作品はいくつかは見ているけれど、近作しか知らない僕には監督を語れる言葉を持ち合わせていないので、とりあえずこの1本だけでの感想になるわけだけど、ほのぼのしていて、温かい作品だったな。誰も傷つかない、誰も傷つけない、とてもハッピーな映画。線路は続くよどこまでも、な感じでこの映画もシリーズ化されてもよさそうなもんだけど、監督は線路の向こうへと旅立ってしまいました。 鉄ちゃん鉄子がなんとなしの市民権を得る今日この頃。オタクに寛容な時代に送り込まれたのは、ナードなAKBヲタでもなければ、メカ命のギークとも違う、なんとも昭和の香りが残るオタク、鉄道ファンな小町と小玉。映画の中でも鉄道のあれこれがふんだんに登場して、舞台の半分は愛すべき鉄道がたくさん走る九州だし、小玉と小町のトークはもちろん電車がメインディッシュだし、オープニングはわたらせ渓谷鐵道だしで、まあリアル鉄男が満足するかどうかはともかく、これでもかの電車押し。登場人物の名前はすべて電車につけられた名前たちという小技も徹底。外人はアクティとかだしねw でまあ話のベースは普通のサクセスストーリーで、新鮮さもくそもなければ、笑いもなんか古くさくておじさんばかりがウケていた気がするわ。つまり僕的にはあんまりピンと来ない映画だったのである。このテイストがどういう由来できているかも知らないし、森田監督の持ち味なんだろうなーと思う、あえての小芝居タッチというのは理解できるけど、面白いとは思えなかったのですよ。キャストたちはすこぶるよかったと思うんだけどね。でもね、この映画はストーリーを語る映画じゃなくて、世界観を観るべきなんだろうなって思います。 「趣味」でつながる人たちと、それによって生まれる絆、みたいなのものの良さがある。こういう小さくて狭いコミュニティは果たして何を生むのだろう。筑後社長は関門海峡を飛び出していて、どちらかといえばその気概のほうが現代の閉塞感を打ち破ってくれそうな気がする。でもそれは昔の価値観で、それだけじゃない小さくとも密なつながりがもっと必要だ、というのが震災から学んだことかもしれないな。好きに忠実なふたりというのも、今っぽい感じだったよね。 この映画単体を愛することはできなかったけれど、なんにしても、コンスタントに新作を発表し、オリジナルにも勢力的で、多彩な芸風を誇った監督が去ってしまったのは悲しむべきことなんだろう。ご冥福を、心よりお祈り申し上げます。
by april_cinema
| 2012-03-24 00:00
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