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2012年 03月 31日
感想_ルート・アイリッシュ
感想_ルート・アイリッシュ_b0130850_23425927.gif予習ありを薦める。『ルート・アイリッシュ』3月31日公開。相棒フランキーのイラクからの最期の電話に出られなかった親友のファーガス。数日後ファーガスに届いたフランキーからの荷物。携帯電話には、イラクの民間人がフランキーの上官によって殺される映像が残されていた。フランキーの死に疑問を持ったファーガスは、その真相を調べ始める。かつてともに民間兵として渡ったイラクには、戦争にまつわる驚愕の事実が隠されていた。「ルート・アイリッシュ」。そのイラクで最も危険な道とされる場所で、フランキーは死んだ。
映画『ルート・アイリッシュ』ROUTE IRISH公式サイト

イギリスの社会を鋭く切り取ってきたケン・ローチ、今回はイラク戦争が舞台、そして英国人ではなくイラク人をいちばんの被害者とした物語を描いてきたよ。いつもながらのシビアで痛烈なリアリティはそのままに、サスペンス性、ロマンスの要素もちりばめて、今までよりも見やすくなりつつも真ん中には本質的な問題提起があって、骨太な一作になってました。

イラク戦争に、民間兵として雇われた人間たちは、莫大な報酬を得ていたそうで、ファーガスもフランキーもその餌に釣られてやってきた人間。先に帰国していたファーガスもタフそうに見えて現地での忌まわしい記憶につきまとわれていて、フランキーもきっとその気があったはず。にもかかわらず、彼らを斡旋することで金を得ている人間がいたこと、そしてその真の犠牲者は民間兵ではなく、ただでさえ戦時下なうえ、よそものかつ雇われの民間兵によって運命を捩じ曲げられる現地の人々だと明確に訴えている。

ただ事実だけを糾弾するでない、エンタメ性のある作りが新鮮で、怒りっぽい無骨なファーガスにも感情移入させるし、真相を簡単に明かさない作りにもハラハラさせられる。のだけど、ちょっとの予習はしておいたほうがよかったなー。民間兵の立ち位置とか、イラク戦争のことももう少し知っておいたらより一層深く浸れたような気がするよ。何も知らずに観てもついていける話ではあるけど、理解を助ける知識があると、さらに評価あがったのかもしれないな。

by april_cinema | 2012-03-31 00:00 | Starter


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