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2012年 04月 07日
感想_アーティスト
感想_アーティスト_b0130850_23542341.gifこの映画の位置づけがわかんね。『アーティスト』4月7日公開。サイレント映画時代のハリウッド、人気俳優のジョージは名声の極みにいた。しかし時代はトーキー映画へと移り変わり、サイレントに固執したジョージはあっという間に落ちぶれて行く。彼が見出した新進女優ペピーがトーキー映画で大ブレイクしていくのとは対照的に。
映画『アーティスト』公式サイト ||2012年4月7日シネスイッチ銀座、新宿ピカデリー、シネマライズ、シネリーブル池袋他にて全国順次公開

賞レースを騒がせまくって見事オスカーにまで上り詰めた大本命は、サイレント(風)かつモノクロ映画! 期待と不安が入り交じる鑑賞だったわけだけど、やや不安的中な感じ。僕にとって無声映画は初めての体験。して、どこまでその世界を楽しめるのだろうかとね。結論は、楽しめたんだよ。だけど、1本の映画を超えて、映画史の中でどういう位置づけに収まるのかが、映画歴の浅い僕にはわからなくて、賞レースや映画祭のような興奮を得ることはできなかったんだ。

台詞は幕間の字幕だけ、そんな中でも人物の感情だったりストーリーってのは十分に語れるもんなんだね。視覚情報だけですべてを読み取らなくてはいけないから、いつも以上に集中して映画に入って、そして想像する喜びみたいなのは存分に味わわせてもらったよ。あ、音楽はあるからそれはかなり助けになっていたと思う。で、ペピーがジョージのジャケットに腕を通し自らを抱きしめるシーンにはうっとりしたな〜! やたらと説明する台詞やナレーションがなくても、これだけ表現できるということは目ウロコ。3DでCGな時代にそれを思い出させてくれるのは新鮮で素敵だぜ。主演のふたりもいい味だったもんな。ジョージ役は実にいい面構えと貫禄だったし、ペピー役は美しく輝いていたよ。モノクロなのに!

もっとも、ストーリーラインは実にシンプルでわかりやすすぎ。それがサイレントの限界かもしれないし、持ち味でもあるんだろう。映画の移行期×男女の恋というロマンスで、展開も読めちゃうだけに最後は少し飽きがきた。シンプルでよくあるような話だけに、再発見ではあったとしても、純粋に斬新とは言えなかったなー。その感じと同じ線上で語れるのかもしれないけど、さまざまな往年のモノクロサイレント作品へのオマージュが捧げられてるってことだけど、見事に何一つわかんなかったもんね! なので、そのあたりも僕にはどう評価していいかわかりませんでした。新しいオリジナリティが果たしてどのくらいあったのか、あくまでタイミングのいい焼き直しだったのか。『ヒューゴ』と同じ現象とも言えるわなぁ。

そういうわけなので、単体の映画としては、初めてのサイレントとして「へ〜こんな感じなんだー」くらいには楽しめた、っていう感じ。映画史の中での位置づけがわからんので、これがアカデミー賞とかは全然イメージわかないんだよね。玄人向け、じゃないかな。

by april_cinema | 2012-04-07 00:00 | Starter


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