2012年 04月 21日
し、渋すぎる…。『裏切りのサーカス』4月21日公開。1970年代、東西の諜報活動が最も活発だった時代。英国諜報部を引退していたスマイリーは、MI6幹部に潜む二重スパイを捜し出す指令を受けて呼び戻される。消されたボスから疑惑を向けられていたのは、スマイリーを含めた5人。調査を開始するスマイリーが知る、さまざまな陰謀と過去。果たして真実はどこに潜んでいるのか。 映画『裏切りのサーカス』公式サイト なんか見る前から1度じゃわからない、2度3度見ないとつかめないみたいなことをさんざん吹き込まれていたので、構えすぎてしまったような気がする。スパイ映画だし、騙し騙されどんでん返しっぽいことかと思って、その手にはひっかからないぜ!とか力んで観ちゃったけど、そういうことではなかった。登場人物がけっこう多いうえ、コードネームも出てくるし、スパイという特性上相関図が入り乱れて掴みにくく、説明もあまりないということで全体を俯瞰しづらいという意味合いだったわ。と気づいたのは見終わってからで、確かに1度で全体像を把握するのは難しかった。大まかな話の流れはつかめたけど、いろいろとディテールを流してしまっているかも。 にしてもオープニングの緊張感がすごいな。主演のゲイリー・オールドマンがなかなか登場しない中、ごくわずかな動きしか起こっていないのになんだかビシビシくるのである。この不穏さはミヒャエル・ハネケを思い出すほどだ。よく考えたら実際のスパイがぎゃーぎゃーわめいたりドンチャンしたりするはずないもんな。ただ息を潜め、常に先回りし、隙を見せず、という虚々実々。そのいわくありげな雰囲気が2時間続くもので、さすがに途中でオレは息切れしてしまったけどね。おもしろいんだけど集中を維持させるまでの吸引力はなかったように思うわ。あまりにも渋いんだもの、映像も、ストーリーも。 つまるところ、騙し騙されのストーリーで、最終的に二重スパイも明らかにはなる。のだけど、それ自体はあまり問題ではないストーリーだったかな。スパイ同士の先が読めない駆け引きの感じ、スパイとして暮らすことの苦悩とか、そういうものをじわじわと伝えてくる作品でした。僕もはなからすべてを疑ってかかるぞ!って姿勢で観ていたけど、まさにこの登場人物たちは24時間そういう臨戦態勢だったんだろうなと思ったわ。誰の言う事も鵜呑みにはできない。なにが真実かは誰にもわからない。今目の前で話している人物が本当のことを言っているのかも、自分の味方なのかもわからない世界。2時間でくたびれたオレには到底スパイになれそうにありません。 なかなか2回、3回観る気分にはならないけど、ツウが好みそうなディテールの作り込みは感じられましたよ。
by april_cinema
| 2012-04-21 00:00
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