2012年 06月 16日
おもしろいのは最初だけ。『愛と誠』6月16日公開。1972年、新宿で喧嘩を始めた男がいた。札付きのワルであるその太賀誠こそ、早乙女財閥の令嬢である愛が、白馬の王子と信じて疑わないその人。愛は、父の力で誠を少年院から出し、みずからが通うブルジョア高校に編入させる。誠はわけがわからないうえ、愛にかまわれるのが鬱陶しくて仕方ない。さらにすぐに問題を起こして退学になると、不良の巣窟である花園高校へと編入してしまう。そして愛もまた誠を追いかけていくが…。 映画『愛と誠』 ブッキー×武井咲ちゃん+三池監督=まさかの昭和歌謡ミュージカル!? まさかミュージカルだったとは!と序盤は衝撃の面白さ。『あの素晴らしい愛をもう一度』『空に太陽がある限り』など、懐かしの(というかテレビでしか知らないけど)ヒット曲がこんな形で再現されるなんて! しかも振り付けはパパイヤ鈴木。ミュージカル独特の唐突感がギャグとして昇華されて楽しいじゃんか! 最高に良かったのは市村正親さんですね。格好よすぎるし、スマイルが素敵すぎる! これはどんだけ面白くなるんだ〜! と思えたのは最初だけ。あとは惰性で終わってしまったわ。もったいないのはせっかく楽しいミュージカル仕様が、ひとキャスト1曲だけで終わっちゃってるところ。しかもソロがほとんど。ブッキーと咲ちゃんのデュエットもないし、他のコラボもないもんだから、せっかくの最大級の武器を使わないという残念さ。安藤サクラとか、斉藤工くんとか、せっかく濃いキャラなんだからミュージカルあわせをもっともっと見たかったよ。 それがないとなると、あとはただの濃いめ学園ラブコメ ver.昭和ってだけ。ブッキーの秘密とか、裏番長とか、全然刺さりませんし、咲ちゃんの出番も意外と少ないし、なんか盛り上がらないまま尻つぼんで終わってしまった。もっとハイテンションで歌って踊ってほしかったなー。そんなもんだから、ギャグのテンションもだんだん年長者向けにしかならなくなってしまったよ。テンポも悪くなる一方で残念すぎ。 そうすると不思議と粗がいろいろ見えてきて、妻夫木君てやっぱりすごく上手なわけじゃないから、"剛"のキャラにハマんない。安藤サクラちゃんも雰囲気があるのはわかるけど、もっと上手な人はいそうな気がする(でもパンツ丸見え逆さ吊りは良かったなー)。そして大野いとちゃんは、妻夫木君とのホリプロバーターな気配がムンムンするし、一青窈がなぜか出演しているのも音楽を担った小林武史の強権発動にも見えてしまって興醒め(実際がどうかは知らないけど)。 最初のアニメーションとかゆるめテンションがちょうど良かったのになー。あと咲ちゃんて声にまで透明感があってたまりませんよね。なんか猛烈に惜しいことしている気がする1本。中島哲也がやってたら(という発想も安直だけど)歴史に残る1本になったかもしれない、なんて思いました。
by april_cinema
| 2012-06-16 00:00
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