2013年 02月 08日
かわいいけど普通かも。『ムーンライズ・キングダム』2月8日公開。1965年、ニューイングランド州に浮かぶ小さな島。ボーイスカウトのキャンプを抜け出した12歳のサムは、口うるさい家族と暮らす同じく12歳のスージーと駆け落ちをする。ふたりは1年前に出会い、アウトローなその境遇を手紙で語り合ううちに距離を縮めていたのだった。さて、周囲は大騒ぎして、スージーの両親、島にひとりの刑事、キャンプの隊長と隊員たちが、いなくなったふたりを追いかけ、ついにふたりは見つかってしまうが…! 映画『ムーンライズ・キングダム』公式サイト 待望のウェス・アンダーソンの新作はカンヌで絶賛されてアメリカでの興行もウェス作品最高ときて、期待値マックス! けどそれが悪かったのか、あれ、ちょっと物足りなかったかも…というのが嘘偽りのない本心です。悔しいけれど。でも全体はいつも通りの作り込みと愛らしさによるさすがの完成度でファーストカットからしてひと目でウェス印とわかるあの感じ。スージーの暮らす不思議な形の家のインテリアからもう心をつかまれ、ボーイスカウトの制服やキャンプのキュートさにメロメロになりつつ軽くひとユーモア。サムが乗るカヌーもスージーの劇の衣装も、とにかくないからなにまでクラフト感たっぷりの職人的ディテール作りこみで感動。それらを活かすカメラワークとか編集とかもウェスそのもの。どうしてこんなに楽しくコマを進められるんかねーっていうワクワク感! キャラクターの存在感と、ディテールへの愛と、時にチープゆえの手のぬくもりがみごとなアンサンブル。部屋から部屋へ登場人物を映し出し、正対する感じのカメラの移動がすごくしっくりきて、なんか一緒に冒険に出て行くような気分になるぜ。 そう、今作の主人公は子供。これまでの大人気ない大人とニアイコールで結ばれるような、子供らしくなさを持ち合わせた子供。なんだけどね、大人げない大人ってのは、コミカルさとイノセントを感じさせていいんだけど、背伸びした子供ってのはごくごく普通に思えてしまったのです。イノセンスがあるのは子供だから当たり前だし、背伸びするのも子供たちには普通のこと。周りの大人たちはちょっとずつヘンテコなんだけど、子供たちとの食い合わせが思ったよりうあくいかなかったなぁって感じ。ムーンライズ・キングダムにたどりついたふたりの急接近は、ほんとに愛らしかったけどね! いつもの、父と息子みたいなテーマから少し離れて、今回はいろんな個性を尊重するようなムキが感じられたな。てかサムのキャラはウェスそのものなんじゃないかと思ってみたり。集団に溶け込めず、自分の世界の中で生きているようなあの感じ。それをすべてのキャラクターにあてはめて、みんな丸ごと肯定するような作りがじんわり嬉しい。サムもスージーも、両親も刑事も隊長も、みんないろんな個性があって、それをみんなが少しずつ理解すればきっと世の中はもう少し居心地がよくなるはず。そんなメッセージを感じました。 しかしブルース・ウィリスにエドワード・ノートンとは意外なキャスティング。ブルースはあんまり馴染んでないような気もしたけど、おなじみのジェイソン・シュワルツマンには笑わせてもらったよ。冒頭のツリーハウスも笑えたし、桟橋の大人ケンカもウケるし、サムが刺された子の傷を狙い打つあたりも超面白かった! お話的にノレなかったけど、やっぱりいつものウェス作品でした。次回作、楽しみに待ってます。
by april_cinema
| 2013-02-08 00:00
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