2012年 09月 15日
8年間は長過ぎたのか。『ヴァンパイア』9月15日公開。高校で生物学を教えるサイモン。家では少し変わった方法で、アルツハイマーの母親を介護していた。ある日彼は、自殺サイトで知り合った少女"ゼリーフィッシュ"とクルマに乗って出かける。人生最後の日を最良のものにしたいと願うゼリーフィッシュに、サイモンはある方法を提案する。彼は人気のない倉庫の中で、横たわる彼女の血を抜き取り、そしてそれを飲み干した。 ヴァンパイア|岩井俊二 待望の岩井俊二作品は、吸血鬼ファンタジー! うーん、高い期待とは裏腹な出来、だと思ったのが正直なところでございます。岩井さんらしい、少し暗くて光の回り方が柔らかいあの世界観の映像ではあるし、少年少女のイノセントとそれゆえの痛みみたいなものは感じられるんだけど、なんだろう、昔のように少し息が苦しくなるようなリアリティを感じないのは、オレが年取ったせいなのか。 ヴァンパイアの不思議な純愛、と呼ぶのは簡単だけど、サイモンの孤独にいまいち触れることができなかったのです。彼が吸血鬼として果たしてどういう生き方をしてきたのか。『モールス』のような背景が見えて来ないゆえに、感情移入を妨げるんだよな。彼が果たしてどのくらい、そしてどうやって生きてきたのか。普通に人間社会に溶け込んでいるようだけれど、自殺サイトがまだなかったような10年前は果たしてどうしていたのか。それは、この映画の本質とは関係ないのかもしれないけど、そのあたりがはっきりしないがゆえに本質のリアリティまで入り込めなかったという感じです。 そして出て来る少女たちが軒並み日本人ウケしそうな美少女だらけだったところに変な恣意性を感じたというか。好きなルックス集めましたねっていう感じがどうも…。知名度はないけど、みんな可愛過ぎるぞー! ゼリーフィッシュもそうだし、練炭で死に損なったあの子も、押し掛け女房なあの子も。そしてミューズ蒼井優たまも。どう見てもチヤホヤされまくりそうだぞー。 結局、ヴァンパイアの孤独を果たしてなにと重ねたかったのだろう。誰もが人に言えない秘密を持っているということ。サイモンと彼女は、そして私たちは本質的に同じ痛みを抱えているとでもいうのだろうか。それを共感させるには、ちょっとディテールが足りなかったように思います。期待していただけに残念に感じたんだけど、ほかの岩井ファンはどう思うんだろう?
by april_cinema
| 2012-09-15 00:00
| 6th-man
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