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2012年 11月 10日
感想_チキンとプラム〜あるバイオリン弾き、最後の夢〜
感想_チキンとプラム〜あるバイオリン弾き、最後の夢〜_b0130850_1044675.gif無くした恋の話とは! 『チキンとプラム~あるバイオリン弾き、最後の夢~』11月10日公開。天才音楽家として知られたナセル・アリは絶望の果てに死を選ぶことにした。彼は死を迎える8日後までに、さまざまなことを思い起こす。妻との結婚、子供たちの将来、そして生涯ただ一度の本物の恋。そこには、彼の音楽の秘密が込められていた。
映画『チキンとプラム~あるバイオリン弾き、最後の夢~』公式サイト

これ、ライトでキッチュなヒューマン物語と思いきやなにげに上級者向けのお話だったわ〜。物語の2/3は布石で、それらが一気に結びつきカラクリがステージの上で動きだし、メロディを奏でるのはクライマックスまで来てから。でもそこで花開く味わいが絶品過ぎる素敵な物語だったなー。『100歳の少年と12通の手紙』をちょっと思い出す、プチファンタジックな物語(む、『100歳の〜』のレビューに『潜水服は〜』を思い出したと書いている自分。潜水服はマチュー・アルマリック主演、本作もマチューが主演!)

主人公ナセル・アリがけっこうとんでもな人物で、スーパー自己中男だからまるで感情移入できるタイプじゃないんだけど、さんざんマイナス印象だったゆえにクライマックスの大どんでん返しで一気に愛おしい人物に。その影で泣いている家族たちのことを思うと簡単に肩入れするのもあれなんだけど、それが芸術として昇華されていたというのは見事な帰結で美しい話だなぁ。つまり、ひと言でまとめちまうと、悲恋の話。いやー哀しい、けれど美しい。これだから人生ってやつはおもしろい。

マチューは、このマンガみたいなキャラクターにぴったりとハマってて、気難しいエゴイストな感じを目ヂカラに落とし込んでいてないす。長谷川潤にちょっと似ているヒロインは美しく、イラン出身ということでそのオリエンタルなムードもぴったり〜。奥さん役の薄幸な感じもお似合いでしたね。彼女がいちばんの被害者で、同情してしまった部分も多々アリ。

タイトルのチキンとプラムってのはなにかの暗喩なのかな。ちょっとそこだけはわからんかったです。劇中ではちょっとしか触れられてなかったので。というわけで、玄人好みだとは思うけどよくできた逸品です。

by april_cinema | 2012-11-10 00:00 | All-Star


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