2012年 12月 01日
いつまでもそのままで。『恋のロンドン狂騒曲』12月1日公開。40年連れ添った熟年夫婦のアルフィとヘレナが離婚。アルフィは若さを取り戻すようにジムに通い出し、やがて自称女優のコールガール、シャーメインと再婚をすることに。ヘレナは離婚のショックから怪しげな占い師のもとに通うようになる。アルフィとヘレナの娘、サリーは売れない作家の旦那ロイと食べていくためにギャラリーで仕事を再開し、ボスのグレッグに惹かれ始める。ロイはロイで、窓越しに見える美女ディアにうつつを抜かし、そうこうするうちにヘレナもジョナサンという気の合う男性を見つけ…。 ウディ・アレン監督作品 映画『恋のロンドン狂騒曲』公式サイト ウディ・アレンの、『ミッドナイト・イン・パリ』の前に撮ってる作品ですね、これ。いかにもウディという感じの、男女が集まってぎゃーすか恋愛話を繰り広げる、いつものあれ。ここまでると様式美と言えばいいのか、とにかく話としてはどうだっていいんですよ。誰が離婚して誰が浮気して誰とくっつこうがさ。なんだけど、役者たちが達者なのと、台詞回しに釣られて見せ切られてしまうというね。これ、名もない監督が撮ってたら見向きされなそうだけど、ウディならサスガってことになりそう。名前だけって意味じゃなく、それだけスタイルを確立しているという意味で。 いつもどおり、人生は無意味だなんて皮肉から始まりつつ、世の中そんなもんという諦観も含ませながら、その中で惚れた腫れたを繰り返す男女の滑稽さをあぶりだす。だけどどこかで人間賛歌っぽいつーか、馬鹿な僕たちだけど、そんな僕たちって愛すべき存在だよね的ムードもかもしつつ。そして、アルフィ&ヘレナを見ているとさすがにウディ・アレンも死を意識し始めたのかなーって思うよね。死からどうやって逃れるか。過去にすがるのか、来世を信じるのか、いずれにしても人って儚いよね的無常感が漂ってくるよ。これはいつものペーソス以上に死がベースにあると思いました。もともとウディは死を強烈に恐れているという話だし。 90分ちょっとだけど、そこまでテンポよく引き込まれるわけでもなく、でもなんとなく始まって終わってくウディの恋物語。いつもわりと一本調子なんだよね、ウディの作品て。ロンドンは全然フィーチャーされてないし、邦題もいい加減だけど、ウディ印の作品です。いつまでもこのまま毎年1本、くだまいててほしいなぁと思いました。
by april_cinema
| 2012-12-01 00:00
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