人気ブログランキング | 話題のタグを見る
2012年 12月 01日
感想_アナザーハッピーデイ〜ふぞろいな家族たち〜
感想_アナザーハッピーデイ〜ふぞろいな家族たち〜_b0130850_1246378.gif最後にぐっとくる。『アナザーハッピーデイ〜ふぞろいな家族たち〜』12月1日公開。元夫ポールとの子供でポールが育てたディランの結婚式のため実家に向かうリン。クルマに同乗する息子のエリオットは薬物中毒だし、弟のベンは自閉症。さらに、後から合流する娘のアリスは自傷癖があった。いざ実家に着いても認知症の父と口うるさい母に囲まれて神経はいらだつばかり。再会したポールとも折り合えず、さらにはポールの妻パティの皮肉にもうんざり。この問題だらけの家族は、無事に結婚式を迎えられるのだろうか。
映画『アナザーハッピーデイ〜ふぞろいな家族たち〜』公式サイト

最近はこの手のコンプリケイテッドな家族の姿を描く映画が増えてますね。実家族、疑似家族問わず。最近じゃ『みんなで一緒に暮らしたら』もあるし、少し前には『家族の庭』なんてのもあったし、その他数え上げたらキリがないほど。『ツリー・オブ・ライフ』とかもその系譜と言うこともできそうだし。全部傾向は違うけど家族がテーマで、それだけ家族が複雑化して問題も増えていて、だけどもやっぱり人生の核にあるものってことなんだろう。

とにかく、ずーっと問題だらけで神経症的な空気に支配されていて、疲れるんだわ。話の筋があるというよりは、リンたちファミリーが抱えている厄介ごとをひとつひとつ明らかにしていく感じでいちいち痛い。まずは息子兄弟の屈折した感じから始まり、アリスという何かはわからないけど問題を抱えてる娘もいるらしい。元夫とのコミュニケーションもさっぱり取れず、どうしてここまでリンはイラだっているのか、ってのは後からわかるんだけど。さらに両親の問題もあれば親戚達のうわさ話にも辟易。ひとしきり疲れた頃に真打ちアリス登場。彼女も重大な問題を抱えていたというね。

だけど、最後にそれらがアリスの言動で収束を見せる。問題はまるで解決していないし、もしかしたらもっとややこしいことになったのかもしれないけど、いちばんの被害者だったとも言えるアリスのあの行動で、世界は少し様子を変えたように思えた。そして家族だからすべてわかり合い許し合うことができるというものでもないということも。でもアリスは少しいい方向に行くんじゃないかって信じられたし、そうしたらきっとリンも少し落ち着くんだろう。エリオットとベンがどうなるかはわからないけど。

役者達は地味豪華なラインナップで、エレン・バーキン、デミ・ムーア、エレン・バースティンにケイト・ボスワースと女優陣は各世代のミューズたち。そして残酷少年エズラ・ミラー君はまたもクレイジーなキャラをエキゾチックに演じていて、もしかしてこの子はアメリカの黒田勇樹になるんじゃないかと思ったよ。

見栄えのする映画じゃないし、重たいテーマながら、残る後味は意外に清涼。噛めば噛むほど味が出るタイプの映画で、これを新人が撮ったのは立派だわ〜。

by april_cinema | 2012-12-01 00:00 | Starter


<< 感想_砂漠でサーモン・フィッシング      感想_HICK ルリ13歳の旅 >>