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2013年 03月 22日
感想_ザ・マスター
感想_ザ・マスター_b0130850_21211630.gifPTAこそ教祖! 『ザ・マスター』3月22日公開。第二次大戦後のアメリカ、フレディは戦時中のアルコール中毒から抜け出せないまま、放浪の旅に出て、行く先々でトラブルを起こしていた。そんなとき、ふと乗り込んだ船上パーティである男と出会う。その男ドッドは、思想団体ザ・コーズを率い、"マスター"と呼ばれていた。彼の言葉に魅せられてゆくフレディ、そしてマスターもまたフレディと親密になっていく。
映画「ザ・マスター」公式サイト

ウワサのポール・トーマス・アンダーセン(以下PTA)の最新作は、前作『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』に引けをとらないこれまたディープで濃厚な映画だったなぁ! お題は新興宗教で、その創始者と、流れ者の男+マスターの嫁で、それぞれの深い心理と関係性をあぶりだしていく展開。パワーはものすごいのだけど、しかし一度観ただけでは何を受け取っていいのかわからないほど難しかったというのが正直な感想。感情移入の糸口が見つけづらいんだよね。時代にも宗教にもリンクしないだけに。(てかカルト題材の映画が続くな…)

だけどとにかく役者力が半端じゃないんだわ。主演のホアキン・フェニックス、『ウォーク・ザ・ライン』のときもそうだけど、こういうワイルドなひと癖ふた癖ある役へのシンパシー度がものすごいんだよなー。カウンセリングの中の半狂乱のようなところにも、色気と狂気とがいい具合にあいまっていてすごいのです。で、それを凌駕しちゃってるのがフィリップ・シーモア・ホフマン。もうこの人なに演ってもオスカーって感じだよね。今回の微妙になにかが欠落したカリスマっていうのがどんぴしゃりで、顔つきも仕草も説得力の塊だわ。加えてエイミー・アダムスも、ふたりほどの出番はないけどいいアクセント。てかこの人来年40歳には見えないわな。

誰しもが心のよりどころを求め、社会との軋轢とかのしがらみの中で生きていくという構図はよくわかるし、そこにハマりこむカルト宗教というのも他人事ではない。"マスター"なしで生きる術を、おそらくあらゆる人が模索しているのだろう。それがラストシーンでようやく少しメッセージのような形で明らかになる。んだけどやっぱどこをどう切っていいかまだわかんねーやー! もう一回観ようかなー、そうしないとどうにも自分の中で着地点を見出せません。エンタメ性は低く、とにかく玄人向けの1本。もうPTA自体がカルトの教祖ですな。

by april_cinema | 2013-03-22 00:00 | Starter


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