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2013年 04月 19日
感想_リンカーン
感想_リンカーン_b0130850_22004988.gifアメリカ人向け? 『リンカーン』4月19日公開。1965年、再選を果たしたリンカーン大統領だったが、長引く南北戦争に苦悩していた。これ以上死傷者を増やさないよう戦争を終わらせなくてはならない。議会では、南軍との和平を望む声も強くなりはじめ、しかしそのための条件は、奴隷解放を放棄することだった。理想とする奴隷解放と、戦争終結の間で揺れるリンカーンの姿を、家族や議員とのやり取りを通してあぶりだす。アメリカ史上もっとも人気のある大統領を描いたのは、ハリウッドでもっとも多くの成功をおさめた巨匠のひとり、スピルバーグ!
映画「リンカーン」オフィシャルサイト

アカデミー賞最多ノミネート、スピルバーグ×ダニエル・デイ・ルイス、そして題材がリンカーンともなるとこれは期待値マックス! がしかし、うーん、なかなか渋かったな~。なにせ相手は偉大な大統領だからか、伝記映画には走らずに、ある一時期に絞ったスタイルは『ヒッチコック』と同じか。で、舞台となったのは南北戦争終盤の4ヶ月、憲法改正と戦争終結、そしてリンカーンが命を落とすまでの期間。最大の見所となるのはそんな状況下でのリンカーンの葛藤なわけだけど、日本人としてはもう少し説明してほしかったなーというところ。南北戦争がどういう状況で、リンカーンが何を目指してどこに向いたいのか。その構図がわかりづらかったのが前半ノリづらかった理由。このあたりはアメリカ人なら誰でも知っていることなのかもしれないけどね。おまけに1860年代の衣装とヅラが、キャラの見分けをしづらくした気がしたよ。トミー・リー・ジョーンズのヅラ姿とか気持ち悪かったし。

さらに、ドラマはドラマでもどちらかというと政治的なドラマで、主に会話劇が中心に話が進んだところもトーンを渋くした要素。家族との温度差とか、議会での理想と現実の間でゆれるところとか、見所はあれど、いちいちおさえめな展開。ダニエル・デイ・ルイスのなりきりっぷりはすごいんだけど、激情型ではなくて内省的キャラだったもんだからこれまた渋いんだよねー。ゲティスバーグの演説はちろりと出てくるくらいだし、これっていう見せ場もなかったわ。むしろトミー・リー・ジョーンズのクライマックスのほうがインパクトあるくらい。

最大のハイライトが、憲法改正がなるかどうかの議会の評決シーンで、なんとここではリンカーン不在ってのも物足りなさの一因。ロビー活動にしてもあんまり魅力なかったし、うーん、うーん、やっぱ振り返れば振り返るほどに渋いな。テーマの持ってきかたも話法もニッチ。アメリカ人ならもう少しうまく入れるのかもしれないけど、奴隷感覚になじみうすく、そしてアメリカ史にも疎い人間には距離を感じましたわ。




by april_cinema | 2013-04-19 00:00 | Starter


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