2013年 03月 16日
重過ぎて、重過ぎて。『汚れなき祈り』3月16日公開。同じ孤児院で暮らしていたアリーナとヴォイキツァ。久しぶりに再会すると、ヴォイキツァは厳格な修道女となっていた。ヴォイキツァはアリーナを教会へと招き入れるが、司祭は信仰をもたないアリーナに嫌悪感を示す。やがてアリーナは精神のバランスを崩し始め、一度は病院に入るも教会へと戻される。暴れるアリーナを取り押さえ、司祭はある儀式を始めることを決める。 『汚れなき祈り』公式サイト これ、ルーマニアで実際にあった事件をベースに作られた映画だそう。平たく言ってしまうとカルトとも言えそうなほど厳格な宗教団体がモチーフになっていて、ひどく陰鬱で、とにかく重苦しい。じわじわと真綿で締め付けられるような、って表現があう。グレーの世界、やがて雪に包まれるそこは神聖な場所というよりも隔絶された世界。静謐であればあるほど、起きる事件のひとつひとつがセンセーショナルで観てらんないし、やるせなくもなる。 そもそも宗教に対して免疫のない僕からすると、この教会の暮らしはカルトそのもの。そうなるとどうしたって怪しげに見えてしまう司教。偏狭なシスターたち。自分の意志を放棄しているかのようなヴォイキツァ。質素な生活にもなにか裏があるんじゃないかと勘繰ってしまうんだけれど、あくまで彼ら彼女らは一途に祈りを捧げている(ようにも見える)。それがエスカレートしてしまっているのだけど、あまりにも純粋ゆえにそれをとがめることがはばかられてしまう。結果、事件は起きるのだけど、はたして誰を責めるべきなのかわからなくなってくる。アリーナはアリーナで、問題があるもんだから。 こういうムラ社会的、閉鎖空間て、どうしても密度が濃くなっていってしまうんだろうな。ここは人が死んでしまう事件が起きたから人目についたというだけで、似たような状況のところはたくさんありそうだ。田舎の小さな村とか、どこかの小さな島とか、少数民族とか。 前作『4か月、3週と2日』でもシリアスなテーマをじわじわリアルに切り取った監督だけに、今作ではそれにさらに拍車がかかった感じ、テーマの重さも種類がちょっと違うけど増しているしね。とにかく言葉をなくしてただ食い入って、そしてなんともいえない疲労感を伴う映画。誰も救われなさ過ぎてしんどいわ。なんでこういうことが起きてしまうんだろう。いったい誰が悪いというんだろう。神様は本当に時に残酷なことをすると思ってしまうよ。
by april_cinema
| 2013-03-16 00:00
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