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2013年 01月 18日
感想_アルバート氏の人生
感想_アルバート氏の人生_b0130850_1630489.gif相当いたたまれない。『アルバート氏の人生』1月18日公開。アイルランドのとあるホテルで、給仕として誰よりも勤勉に働くアルバート。彼はある理由から手にしたチップをせっせと貯金していた。そしてアルバートは、ホテルの塗装にやってきたペンキ屋との出会いから、ある計画を実行に移そうとする。しかし思いも寄らない展開が待ち受けていた。アルバートの人生に隠された秘密とは、はたして。
2013年1月18日(金) “夢を叶える”ロードショー | 映画「アルバート氏の人生」公式サイト -

実はこれ飛行機(ロンドンのときかな)で見始めたけど途中で時間切れになってしまってたんだよね。改めてちゃんと見ることが出来てよかったわー。いやしかし、切ないというべきか哀しむべきなのかわからないけど、地味ながら感じ入るところのある良作です。まあこれはネタバレというか前提なんだけど、アルバートの最大の秘密は、女であることを隠した男だっということ。なぜ彼はそうしなくてはならなかったのか、そして彼はどうなろうとしているのか。ここが焦点になるわけで。

はたしてアルバートは何を思っていたのだろうか。性別を偽る日々の希望とはなんだったのか。ドウズとの疑似恋愛のような関係は果たしてなんだったのか。ただ自分が抜け出すための踏み台だったわけではないだろう、誰よりも女性らしく生きる彼女に自分の失われた何かを見たのかもしれない。いや、マキンスに振り回される彼女を無意識的に救おうとしていたのかもしれない。なんにしても、生きていくためにああするしかなかったアルバートのことを思うと胸が詰まるわけです。今こうして自由に暮らせる時代にあることを、感謝せずにはいられないわけで。

深みのある物語を支えるのはしっかりしたキャストたち。男装する女性を演じ切ったのは、大女優のグレン・クローズ。最初アルバートが冴えない小心者のおっさんにしか見えなかったよ。キーパーソンになるペンキ屋も、ミア・ワシコウスカもよかったし、出演作が続くアーロン・ジョンソン君もキック・アスとはずいぶんイメージが変わっててナイス。派手さはないけど、しっとり味わいたい良作でした。

by april_cinema | 2013-01-18 00:00 | Starter


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