2013年 07月 20日
重かったぜ。『風立ちぬ』7月20日公開。飛行機設計の夢を持つ少年二郎。大学で設計を学び、飛行機製造の会社に勤める。ドイツへの視察をへて、持ち前の研究熱心さで、社内での評価を高めた彼は、軍用機の設計を命じられる。一方で、運命的に出会った女性・菜穂子と結ばれるが、彼女は結核を患っていた。 風立ちぬ 公式サイト いやー、予想よりもはるかに重い話だったなー。舞台が昭和初期、第二次大戦へ向かう時代。この時代に飛行機を作るというのは、すなわち戦闘機を作るということ。それを思ってしまうとすべてが死に直結して見えてしまって苦しかったんです。どんなに二郎が力を尽くしても、その飛行機は戦争に使われ、そして兵士たちは命を落とす。改めてその歴史的事実に目を向けざるをえず、ずーっとその苦しさばかりを頭に過ぎらせながら観てしまった。まさにその通りのラストだったのもツラかったな。 救いは菜穂子との愛情を育むシークエンスか。出会いも素敵ならば、再会もまた愛らしく、一服の清涼剤としてほほえましい。ジブリにしては珍しくキスシーンがたくさんあったり、初夜を匂わせていたり、リアルな恋愛模様が描かれていたのもよかったと思う。二郎のストレートさも格好よろしかった。がしかしこれもまた悲恋なのが辛い。楽しかったのは上司の黒川さんくらいか。変な造形に加えて、厳しい上司と見せかけてとても理解ある人で、ユニークなキャラで楽しませてくれました。場内ちらほらと笑いも起こっていたし。 しかしこの映画、アニメーションである必要があったのだろうか。時代背景も実在のもので、お話はシリアスそのもの。「生きねば」というメッセージは、なかなかストレートには受け入れにくく感じました。二郎の夢は、そのままの形ではかなわず、最愛の妻も失ってしまう。でもそれを乗り越えて生きよ、というメッセージはアニメーションで描くには軽すぎるようにも感じた。夢物語ではなく、逆境の中で立ち上がるその姿勢は、実写のほうが響いたんじゃないかとも思う。むしろそれはそれで重すぎるのかもしれないけど。 後から知ったけど、これって堀越二郎と、堀辰雄という、ふたりのモデルとなる人物とエピソードをつなげて1本にしているんだね。その意味はどこにあったのかな。同時代で関わりもあったふたりのようだけど、同じテーマ性の延長線上にはないようにも思ったのだけど。 庵野さんの声は、二郎の変わり者キャラとマッチしててよかったと思いました。いやーこれ、世間の評価はどうなんだろ?
by april_cinema
| 2013-07-20 00:00
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