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2013年 11月 09日
感想_四十九日のレシピ
感想_四十九日のレシピ_b0130850_22112487.gif松竹映画みたい。『四十九日のレシピ』11月9日公開。夫が愛人との間に子供を作り、離婚を決意した百合子。岐阜の実家に戻ると、父が見知らぬ若い女に背中を流されていた。母の乙美が死んで間もないのに一体何が? その女、井元は、母が生前ボランティアで世話していたそうで、母が作ったレシピを持って家のことを手伝いにきていたのだった。さまざまな暮らしのレシピが詰まったその1ページには「四十九日のレシピ みんなで呑んで食べて大宴会」と残されていた。
映画『四十九日のレシピ』公式サイト || 11月9日(土)新宿バルト9、有楽町スバル座ほか全国公開

永作さん主演というだけで見てみたいという気にさせるから大女優ですよね。監督はタナダユキ。あんまり好きではないけど、どういう化学反応が生まれているかと思ったら、チラシの印象通りのあったかい系家族の話になっておりました。だけど、その描き方が僕にはあんまり刺さりませんでした。

話はシンプルで、亡き母の願いをかなえる、なんだけど、周辺の関係性が複雑すぎる。複雑なわりにはさらっとしか描かれないから寄せ集め感が強いんだよな。百合子と乙美は血がつながっていないし、乙美も自分の子はいない。百合子も子供がなかなかできない体だったらしい。というところで、子を生まなかった女性というテーマがひとつある。井本は依存症により施設に入っていたときに乙美と出会ったということだけど、彼女もまた母から愛情を受けてこなかったそう。さらには百合子の夫の愛人がひどい描かれ方してて、血がつながった親子とそうでない親子の皮肉な対比なんかもあるけど、深堀はなし。

また、父良平と乙美の関係は回想で描かれるけどかなりわかりづらかったなー。コロッケパンのエピソードとか、これまでにもさんざん食って来ただろうし、弁当からソースが染み出てることだって一度や二度とは思えない。なのにあの抵抗感はないだろう。にもかかわらず最後には美味い美味いって食べるのはおかしすぎると思う。これまた百合子夫妻と微妙に対比関係があるようだけど、夫婦についての考察は二の次ってことか、非常におざなりだったと思う。石橋さんがせっかくのいい父親役なのに活かし切れてなかったような。日系三世のハル君なんて何しに出て来てたのかよくわかんないしね。

で、肝心の四十九日がなんとも微妙。なぜあの辛辣な叔母は戻って来たのか。しかもあんなもん引っさげて。集まった客たちはあれでよかったのか。年表はただの寄せ書きでよかったのか。常識はずれがどうのとかじゃなくて、乙美と大なり小なりつながりを持った人たちの故人への想いがちょっとずつでも見えてくれたらよかったのに。そうなんだよな、乙美さんの人柄が全然見えてこなかったのも残念だったなー。百合子とのエピソードが出会いの動物園だけってのはあまりにも伝わらないぜ。

て感じで、役者はよかったけど、なんかそれまかせな感じがすごくしてしまった。思えば『苦虫女』『ふがいない僕』もその傾向はあったように思うのですがどうなんでしょう。松竹映画みたいといったけど、大団円の終わり方がそれっぽいと思ったわけです。が、松竹映画のように人情をまっすぐに描くというところもなかったので物足りなさはけっこうありましたわ。

by april_cinema | 2013-11-09 00:00 | Starter


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