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2013年 11月 09日
感想_いとしきエブリデイ
感想_いとしきエブリデイ_b0130850_22132310.gif刻々と時は流れて。『いとしきエブリデイ』11月9日公開。カレンは毎朝4人の小さな子供を学校へと送り出し、みずからはスーパーとパブで昼夜働く。ある日、早朝から子供を連れて向かったのは夫イアンの面会。イアンは服役中の身だった。そしてまた日常に戻る。半年、1年、2年。父と会うたび子供たちは成長していた。
映画『いとしきエブリデイ』オフィシャルサイト

非常に静かな映画だけど、なぜか目が離せなかったなー。描かれるのは家族の姿のみ。刑務所にいる父を欠いた家族の日常。子供たちは学校にいき、遊び、カレンは働く。カレンはエディという男と逢瀬を重ねる。子供たちとも遊ばせている。イアンの仮出所の日には、子供たちを公園で遊ばせ、夫婦は束の間、貪るように肌を重ねる。どれも淡々としたワンシーンとして、ドキュメンタリかのように描かれる。

何を隠そう、この4人の子供たちは実際の兄弟姉妹で、撮影に使われた家も学校も実際に彼らが暮らし、通っている場所なんだそう。そして撮影は5年の月日をかけていて、映画の中でも実際に5年が経過し、イアンは無事に出所して家に帰ってくる。が、それ以上のドラマはない。子供たちは背が伸び、語彙が増え、少しずつ大人びていく。イアンとカレンは5年分の年を重ねる。それ以上でも以下でもない映画なのだ。

映画は90分でまとめられているけど、5年という月日をちゃんと感じさせる。何でもない日常が繰り返されて、それが1年になり2年になり人を変えていく。しかしイアンはその月日を点でしか感じられない。彼が体感するその点を、スクリーン越しに僕等も追体験する。あっという間に時は流れ、人は変化をするのだけど、その1日1日を見逃してしまうと、物事はあまりにも急激に変化したように思ってしまうということだ。良いことも悪いことも、すべてはこの退屈でどうしようもなく愛おしい日常の中にあるということなんだろう、ウィンターボトム監督が描きたかったのは。

あまりに静かゆえ、何を受け取っていいかは難しいところもあるかもしれないけど、僕はそんな風に感じました。とにかく子供たちが可愛かったし、良心と誠実さを感じる映画でした。

by april_cinema | 2013-11-09 00:00 | Starter


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