2013年 06月 14日
この痛み、伝えなくては。『インポッシブル』6月14日公開。マリアとヘンリーは、3人の息子を連れてプーケットにバカンスへとやってくる。それぞれに子供たちとプールでくつろいでいたとき、それはやってきた。地震と大津波は一瞬にしてすべてを飲み込んで行く。かろうじて命だけは助かったマリア。長男だけを発見できたが、夫と残りの子供たちは見つからない。すべてが混乱した未曾有の大惨事の中、無事を信じて待つ。 映画『インポッシブル』公式サイト || 大ヒット上映中! 震災と津波。その記憶がまだ生温かいこの国で、今これを観ることは堪え難いものがあったのも事実。感動の実話なのである。だけど、彼らは助かったからそう言えるのだ。その横で、数え切れないほどの人たちが命を落としていることを思った時、この映画をどう受け止めていいのかさっぱりわからなかった。たまたま無事だった人を取り上げて良かったね感動したよ、なんて言えないって思ったのが率直な感想。もちろん、家族の絆は胸を打ったし、混乱の中で助け合う人々も賞賛に値したのだけど、そこだけを取り上げることはできないんじゃないかって。 だけど、そうじゃないんだよね。そうじゃないってこともないけど、生き残ったことになんの罪もないわけで、勝手にそこに罪悪感を覚えていてはいけない。他人である僕たちも、そこから変に目を逸らすのもおかしなことなんだろうと思えてきた。この話のモデルになった家族も、生き残ってしまったという葛藤は強かったみたいだけど、今はそれでも前を向くことが大事だと考えているそう。そうだよね、生き残ったものに使命があるとしたら、亡くなった人の分まで生きるってことなのかもしれない。分までってのはおこがましいか。自分の生を、精一杯、だね。 津波映像の迫力はすさまじく、混乱を極めた避難所内でのドラマも見事。家族の愛情、子供たちの成長、そういうものがさりげなく描かれていて、とても優れた映画でした。胸は痛むし、簡単に感動したとは言えない。それでもここから目を逸らしてはいけない。東日本大震災もそういう存在になっていくはず。前を、向かなくちゃ。
by april_cinema
| 2013-06-14 00:00
| All-Star
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