2014年 01月 25日
これはこれでいいお味。『小さいおうち』1月25日公開。健の祖母タキが亡くなった。健は彼女がつづっていた自叙伝のノートを遺される。そこに書かれていたのは、タキが女中として平井家に奉公していた昭和初期の話。玩具会社に勤めるご主人様。若くて美しい奥様の時子。そしてまだ小さいぼっちゃん。彼らが暮らすのは坂の上のおしゃれなおうち。そして、時子と主人の部下である板倉の秘め事。タキが生涯抱えていた思いとはなんだったのか。 山田洋次監督最新作『小さいおうち』2014年1月25日ロードショー! 中島京子の直木賞作品を山田洋次監督が映画化! なかなかどうして味わい深かったなー。基本的には原作の良さを忠実に再現していたし、そこに山田監督らしい正統派ドラマのメソッドがミックスされた感じ。原作は、ミステリーとは言わないけど、タキちゃん視点で当時が描かれていくわけだけど、映画はそれをもう少し客観的な世界として真っ直ぐ描いている。当時の暮らしぶり。戦争に向かっていく気配。そして時子の秘密。タキ目線を主観映像にせず、どこの小さいおうちにもありえたことのように描写していた気がしました。 原作の詳細がうろ覚えになっていたので、読み返すような気持ちで観れたのもよかったのかも。小説だけだと想像しきらなかった昭和初期の様子も、こうして絵で見るとまた違った印象だよね。和装と洋装、女中奉公、インテリアやおもちゃなどなど。その中に松たか子&吉岡秀隆の異常なハマりっぷりがすごいし、台詞は少ないけど黒木華ちゃんのミス女中っぷりもどんぴしゃすぎるぞヲイ。山田監督らしい、演じてるように演じている感じも、昭和ドラマだとことさらに合うし、役者さんたちも見事に表現していたように見えました。 戦争に向かうきなくささは今の社会の雰囲気とどこか通じるものがあることとか、遺された板倉の想いとか、細かいところもきちんと見せる。なにより、生涯独身を貫いたタキが本当に秘めていた想いはなんだったのか。時子への憧れ以上の想いか、それとも板倉への淡い恋なのか。いずれにしても罪と罰を背負い続けた彼女の、描かれていない60年が想像されるよい終わり方。原作では、タキのフィルターを通さない時子の姿について、最後に言及があったと思うけど、それを映画ではあえてしなかったのは、タキの純粋性を壊したくなかったからかもしれないな。 監督は、恭一ぼっちゃんと同じくらいの年齢だそうで、そういう意味での思い入れもあったとか。もう一度原作を読みたくなりましたよ。
by april_cinema
| 2014-01-25 00:00
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