2014年 02月 15日
感想_大統領の執事の涙
b0130850_1262960.gif重層的でグッとくる〜。『大統領の執事の涙』2月15日公開。南部の農園で生まれた黒人のセシルは、幼くして父を亡くし母は正気を失った。差別の色濃い環境を飛び出した彼は、縁にも恵まれバーテンダーになり、そこからホテル執事の職を得、やがてホワイトハウスの執事として登用される。時代は1950年代、アイゼンハワー大統領の時。しかし成長した息子のルイスは、過激な解放運動へと走り始める。激動のアメリカを、大統領執事として見て来たセシル一家の物語。
映画『大統領の執事の涙』公式サイト

近代アメリカの黒人史を、ある一家の目を通してとらえた物語。これ、実話ベースだそうで、実際に執事として8人の大統領に仕えた人物がいたそうだ。すげーなー。話は彼の個人的なストーリーかと思いきや、彼の職場でのエピソードはそんなに多くなくて、あくまで時代のくさび的に打ち込まれている印象。むしろルイスの活動とそれを見守る父親としてのセシルにスポットが当てられていく。

この父と息子のコントラストが印象深くてね。父は、白人社会の中でいかにして生き抜いて行くか、幼少時の被差別的な暮らしからどう距離を置くかを考え、家族を守るために戦って来た。息子が生きた時代はそれよし少し進んだ時代。黒人たちが立ち上がり、全面的な差別の撤廃へと大きく社会が動き始めたところ。シットイン運動や、フリーダムライダーズ運動ってのは初めて知ったし、キング牧師、JFK、マルコムXなどが出てくるのは、アイコンとしてわかりやすかったわ。セシルもルイスも結局は同じ血を引いていた。彼らは、父と同じような選択をしたくないと思っただけなのだ。そして彼らが目指していたのはともに、平等な社会だったのだ。最後、セシルがパーティで見た景色というのは強く印象に残りますね。差別って、こうやって人の目を曇らせていくんだなって。

主演のフォレスト・ウィテカーは役作りでこんなに痩せたんでしょうか? 奥さん役の人気司会者という女性も素敵でしたね。ルイスも格好よかったし。大統領たちがカメオ的にしか出てこなかったのはちょっと残念な気もしたけどまあ、物語の性質上仕方ないか。ラストはオバマで締まって美しかったですね。

娯楽作ではないけど、日本人にもわかりやすい物語。黒人差別の歴史を背景にした、父と子の物語であり、人間の尊厳の物語でもあります。じわじわと感動が腹に落ちてくる一作!
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by april_cinema | 2014-02-15 00:00 | All-Star


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