2014年 07月 18日
感想_複製された男
b0130850_1223233.gifものすごく好み別れそう。『複製された男』7月18日公開。歴史教師のアダムは、平凡な暮らしをし、恋人との関係は冷めかけていた。そんなときふと見た映画の中で驚愕のシーンを目撃する。そこに映っていたのは自分と瓜二つの男だった。男の名はアンソニー。彼の素性を調べ、自宅に電話をし、ついにふたりは対面することに。アダムとアンソニーは、声質も同じ、姿形も完全に同じなのだった。驚きを隠せないふたりの運命は…。
映画「複製された男」公式サイト

『灼熱の魂』『プリズナーズ』とヤバすぎる傑作をぶっ込んできた最注目監督ドゥニ・ヴィルヌーヴの最新作。ポルトガルのノーベル賞作家の同名作が原作だそうですが、いやーなかなからしさあふれる作品だったけど、かなり深読みが要求されるため好みは完璧に別れそう。でもま、この作品に注目する人はけっこうな映画好きだろうから、ある程度は好意的にも迎えられそうかな。

結論から言うと、なぜ瓜二つの人間が現れるのか、そのあたりについては明かされることはない。あくまで、自分と同じ姿の人間が現れた時のアイデンティティについて描かれている。姿形が同じでありながら、中身には違いがある。温和な歴史教師と、感情的な三流役者。外見が一緒ならば彼らが入れ替わったとしても誰も気付かないのだろうか。恋人や妻は、すぐに気がつく。生きてきた時間というのがやはりアイデンティティを変えているらしい。だけど本人たちにしてはどうだろうか。そこにあるもうひとつの人生が現実のものとして現れたとき。入れ替わりって、何度も出てくるテーマだけどそのたび興味深いですね。本作はでも、そのあたりの焦点は意外と掘り下げきってなかったかもしれない。官能性とか、母親との関係性とか、キーワードはたくさん出てきたとは思うのだけど、結論まで至らないというか。でも、アンソニーの顛末や、アダムの変容とか、面白い欠片はたくさん。何にしても一筋縄じゃいかないですな。

そして、謎度を高めてるのが、蜘蛛の登場と、冒頭とラスト間際の妖しい倶楽部の存在。蜘蛛は姿を変えながら象徴的に出てきているんだけど、なんのメタファーかわからなかったなー。いきなり挿入される巨大蜘蛛も、蜘蛛頭の全裸逆さ女も、ラストのあいつも。あと、大破した車のガラスの蜘蛛の巣も、か。そして夜の倶楽部についても、うーん、解釈のしどころが見当たらないぜ。

90分なのでサクっと観られて、謎がどどんと残る感じ。ツッコミどころも多そうだけど知恵の輪的な面白さはある作品でした。
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by april_cinema | 2014-07-18 00:00 | Starter


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