2014年 08月 09日
感想_めぐり逢わせのお弁当
b0130850_23523726.gif脅威の弁当配達システム! 『めぐり逢わせのお弁当』8月9日公開。ムンバイ独特の、自宅から職場へのお弁当配達システムを利用するイラ。夫の愛情を取り戻すため、一生懸命作ったお弁当は、夫ではなく間違って退職間近の男やもめ、サージャンの元に届いた。間違いに気付いたふたりだったが、不思議な文通を始めることに。最初はお弁当の感想だったが、やがてそれぞれの悩みを吐露するようになり…。誤配の確率は1/600万と言われる中でつながれた奇妙な縁が結んだものは…。
映画『めぐり逢わせのお弁当』公式サイト

2013年のカンヌで評判を呼んだというインド映画。ビジュアルからしっとり系を予想はさせるけれど、まさかインド映画にしてこんなにヨーロッパ映画っぽい静かな作品が出てくるとは意外な驚き〜。そして良質だった〜。お弁当の誤配という運命のいたずらな切り口から語られるのは、都会に暮らす人々の小さな孤独。夫に構われない女。愛妻を亡くし生き甲斐を見失った男。その孤独は都会の片隅で、誰に気付かれることもなくくすぶっている。そのふたつが寄り添うことによる、前進をしっかり描いてました。地味だけど、誠実でいいわ。

都市として巨大になるムンバイの様子とのコントラストがちゃんと描かれていて、それがおそらく世界中の都市で暮らす人のマインドにヒットするんだろうな。誰もが孤独を抱えていて、こんなに人はたくさんいるのにそれを誰とも共有できない哀しさ。イラとサージャンが、お弁当と手紙というアナログなツールを通して惹かれ合うのも実に自然なことだよね。間に入っているシャイクのエピソードも、なかなか効いている。面倒くさいあいつだけど、あいつにはあいつなりの孤独と苦労があったのだ。おそらく、誰にでもあるんだろう。イラの夫にさえも、それはあるのかもしれない。いや、きっとあるんだろう。これって善悪とは関係のないところにあるものだからね。

それにしても驚くべきインドの弁当配達システム! 詳細は語られてないけど、なんかものすごくアナログに見えるけど正確なシステムらしいですね。世界が注目するレベルだそうで。でも急速な発展は、その愛すべきシステムさえもいつか壊してしまうんだろうか。なんてことも考えつつ、インドらしい風景を楽しみながら、アルゴリズムを超えたところにある普遍的な人の想いを描いた良作でした。踊りのないインド映画として、夏の夜にしっとりと、ぜひ楽しんでほしいです。
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by april_cinema | 2014-08-09 00:00 | Starter


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