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2013年 12月 14日
感想_少女は自転車にのって
感想_少女は自転車にのって_b0130850_231127.gif爽やかなアラブの風。『少女は自転車にのって』12月14日公開。サウジアラビアの10歳の少女ワジダは、ちょっぴり個性的。先生に怒られてもスニーカーを履き、スカーフもしない。ある日、彼女は緑色のきれいな自転車が雑貨店に入荷するのを観る。母親にねだるが、女の子が自転車に乗るなんてもってのほかと取り合ってくれない。なんとか自分のおこづかいで買おうとがんばるとき、賞金1000リヤルがあるコーランの朗読大会が開かれることを知る。
【公式サイト】『少女は自転車にのって』

知らなかったけど、サウジアラビアには映画館が法律で禁止されているんだって! だけどこの映画はサウジの女性監督の初めての長編作品。劇場のない国でいったいどうやって映画監督になったんだろうってそっちのほうに興味が湧いちゃったけど、素直で素敵な作品でした。ちなみにサウジではこの作品、公開してないそうです。だって劇場がないからね。

お話は、ワジダの周辺を描くことで、サウジアラビアの女性の立場を明らかにし、そしてワジダの成長を通して、これからの未来が変わっていくことの希望を託してます。その様子が清々しい。僕らからすると彼女の国の事情というのは、信じられないというひと言だけど、サウジの女性たちからしたら切実な問題。一夫多妻性も、女性の自由が制限されていることも、今の時代には段々と合わなくなってきている中、古い慣習で暮らす気持ちたるやいかばかりか。

それでも、これからはなにかが変わるんじゃないかって予感させるのは、奔放なワジダのひたむきさがあるから。自転車に乗る。こんな当たり前に思えるちっぽけなことも、国によってはとてつもなく大事になるってこと。世界は本当に広い。映画はそれを教えてくれる。そして、この監督は映画によって国の未来を変えようとしているんだろうな。そっとエールを贈りたくなるような、小さな良品でした。

by april_cinema | 2013-12-14 00:00 | Starter


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