2014年 09月 20日
もう少し尺伸ばしてもいい。『フランキー&アリス』9月20日公開。1973年ロサンゼルス。ストリッパーとして人気を得ていたフランキーは、ある日傷害事件を起こし警察に拘束され、精神病院へ。担当した研究医のオズワルドは、フランキーの中に彼女自身も認識していない別人格がいることを確認。傷害事件もその人格が引き起こしていた。治療に手を尽くすオズワルドは、フランキーの過去を調査。そこには彼女の壮絶なトラウマがあった。 映画『フランキー&アリス』公式サイト 久々に多重人格ものを観たような気がするけれど、これはなんと実話がベース。実在した女性の物語をハル・ベリーが映画化を熱望して実に10年かけて権利を獲得し、そしてみずから主演したんだという意欲作。今年のゴールデングローブ賞で主演女優賞ノミネートされたほどの力の入りようですわ。これが、ただの不思議な事件とか、ミステリというわけではないのです。 ネタバレになりますが、新しい人格が生まれた原因は、黒人である彼女の白人との悲恋。そしてその人格がなんと黒人差別をする白人という、デリケートすぎる事実。もうそれだけで、フランキーがどれほど心を痛めていたのか、その想像を絶する悲嘆ぶりがうかがえるというもの。そしてその悲劇が起きた状況もまた、70年代ならではの根深い問題がはびこっていて、だいぶ時代が変わった今の俺たちは、そのおぞましい過去に胸を痛めるしかないという。 できれば、この部分はもう少しじっくりと濃密に描いてもよかったんじゃないかと思ったんです。事実が明らかになるところは、思ったより深く突っ込むことなく、むしろ少し想像の余地のほうを多く残した作り。前半けっこう引っ張ったわりには、あっさりした終わり方に感じました。ハル・ベリーは、3人の人格を演じていたんだけど、その変身ぶりも控えめな時間しか登場しなくってちょっともったいなかったような。オズワルドの治療とかも、もう少し強弱出せたんじゃないかなーとも。過度にドラマチックにすればいいというものでもないかもしれないけど、そこでより強く引き込めるとインパクトはもっと大きくなったおうな気がする。このあたりの脚色にはもう少しやりようあったんじゃないかなー。100分で終わるのはありがたいけど、この内容ならあと20分費やしてもよかったよね。 という感じで、なかなかにずっしりした一本。簡単な題材じゃないゆえに、惜しいなって感じは否めないけど、事実は小説より奇なりというその重みを痛感する話でした。
by april_cinema
| 2014-09-20 00:00
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