2014年 10月 11日
感想_ぶどうのなみだ
b0130850_12222732.gifあざとさが目に付くが。『ぶどうのなみだ』10月11日公開。北海道空知で、5年前からぶどうとワイン作りを始めた指揮者のアオ。しかしなかなか思い通りのワインができない。そこにトレーラーで現れた旅人のエリカ。畑の隣で突然穴を掘り始めた彼女をいぶかしむアオと、弟のロク。エリカは、土の中で何万年も眠るアンモナイトを探していた。
映画『ぶどうのなみだ』10/4<北海道先行>10/11全国公開

『しあわせのパン』のスマッシュヒット(わからんもんだ)を受けて登場した北海道ご当地シネマ第二弾。同じ監督で、またも大泉さんが主演です。予算増えたのかなー?とかうがった見方もしつつ今回はワイナリーのお話。音楽家の道を閉ざされた男の再生物語。アオは笑顔を見せることなくつねに苛立ちを抱えたままぶどうとワインを作り続け、周囲との距離もうまく取れない男。エリカに対しても攻撃的だったけど、やがて少しずつ心を開き、もっと大きな目で広い世界を受け入れていく。

だけどなー、エリカに心を開く理由らしいものもあまり描かれるわけではないし、ぶどう作り、ワイン作りに関しても、そんなにがんばってるように見えないんだよな。いやがんばってはいるんだろうけど、どんな苦労や工夫をしているのかが描かれない。そんなんでいきなり来年ワインが美味しくなるわけなくないすか?と。奇跡のリンゴを観てしまうとずいぶん甘ちゃんに見えますね。まあ、自然相手だから良いときも悪いときもあるってことを言いたいのかもしれないけど、それを言うには描き方浅いもんね。

前作もそうだったけど、ファンタジーとして実に中途半端で、テーマ性が物語に溶け切っていないと感じます。エリカの存在感にまったくリアリティがなく、あのトレーラーでどんな生活してるのか、なんで衣装があんなくるくる変わるのか(しかもリンネル系)、母が去ったエピソードは彼女に何を落としているのか、そういうのを放置し過ぎてると思う。ファンタジーの象徴にしても、そういうディテールが腑に落ちないから、話が浮ついて見えちゃうんだよな。あのにわか楽団もなんなんだって感じ(帽子は可愛かった!)。ロクはおいしいポジションなのに、ろくに物語を与えられてなかったのも残念。てか、アオの音楽家の道を諦めざるを得なかったことや、父との確執は、全然回収されてないとも思いましたよ。

テーマ自体はとてもいいと思うのです。土の力。雨の力。自然の生み出す大いなる恵み。北海道で語るべきことだとも思うし、何年も何十年も効果があるのか、誰かに理解されるのかわからない行為への敬意というのも、インスタントな今の時代に必要な価値観だと思う。だからこそ、もっと効果的な物語を紡いでほしかったです。そういうの、『かもめ食堂』は上手だったよね。

大泉さんは鉄板として、安藤裕子とはびっくりキャスティング! 上手ではないんだろうけど、天然ぽい感じはエリカのキャラにはあってたかも。かわいかったし。でもキスシーンだけは、素の安藤裕子を観てる気がして映画のトーンとあってなさすぎて引いた。あれを観る感じ、安藤裕子でどろどろのラブストーリー演ってほしいと思ったわ。そして染谷君はもう抜群の空気感ですね。なのにロクの話が全然なくてほんともったいない。

残った印象は『しあわせのパン』とまったく一緒で、中身のないほっこり雰囲気だけ。安藤裕子ってダレ?ってなんなきゃいいけれど。
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by april_cinema | 2014-10-11 00:00 | Starter


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