2014年 11月 22日
感想_インターステラー
b0130850_2334391.gif映画5本分の知恵熱! 『インターステラー』11月22日公開。近未来の地球は、異常気象と食料危機に見舞われていた。このままではやがて植物も枯れ、酸素がなくなり、人類は窒息死という運命を迎える日も遠くない。そんなとき、元宇宙飛行士のクーパーは、ひょんなことから極秘裏に活動を続けていたNASAの基地を発見する。彼らは人類を救うための宇宙探索を続けていたのだった。
映画『インターステラー』オフィシャルサイト

待望のノーランの新作は宇宙SF! しかしこれ想像の斜め上どころか異次元の中を行く超絶SFだったわ…。とにかく銀河系の彼方に生命維持できる環境を探すというミッションに対する科学的アプローチがすごいのね。未来の設定だから、現在では不可能なことも可能になっているとはいえ、理論上の仮説がちゃんと積み上げられてる。のかどうか、素人のボンクラ脳ではついていけないレベルの会話でしたわ(実際最先端の理論に忠実で科学者の評価も高いそう)。土星の近くにあるワームホールに飛び込んでうんたらかんたらで、ブラックホール内の量子データが必要で、重力は次元を超えて、時間は後には戻ることはないけれど、ホニャラララララ。このあたり、まったくついていけませんでした。宇宙船デザインはそんなにドラスティックじゃないけど、ロボットはむちゃくちゃレベル高いし(ちょっとモノリス風味)、みずからをコールドスリープさせる技術も確立してるし。確実に『2001年宇宙の旅』は意識していると思われますが、SFものとしての評価、どうなんだろう(高いみたいです)。

さて。しかしこの設定のすさまじさも映画の輪郭でしかなくて、なによりもそこに縦にも横にも何重にも織り込んだドラマとエンターテインメントはやっぱりすごかった。序盤、荒廃した近未来を描きつつ、巧みな伏線張り。上手なのは、簡単にフラグとはわからないように布石を打つところだよね。冒頭のテレビの映像も、本棚からのメッセージも、時計の存在も。娘っ子マーフがアン・ハサウェイに似てて驚いたけど、インド軍の飛行機追跡とかも迫力あったし、なにげにあれがクライマックス前の放火シーンとつながってる感じなのかしらね。

役者たちも総力戦。主演のマシューは、完全にいい感じのイケメンオヤジ路線に復活し、今回も子供への愛情あふれ熱意とユーモアにも満ちたヒーローを体現。アンハサウェイも、クールだけど人間くささを持ち合わせたヒロインに。マット・デイモンはまさかの超悪役で登場したかと思えば、成人したマーフはジェシカ・チャスティン! 非の打ち所ありません。さすがノーラン。ノーラン組常連のマイケル・ケインもいい役どころですー。

宇宙空間での活動は控えめながら、どこかの惑星ということになっているスーパー津波は圧巻だわ、Dr.マンのいた氷の惑星もすごかったな。あれ、アイスランドなのか。あんなところが地球にあるんだな、というのも感動。いやしかし、この話どうやって着地させんのかと思ったら、5次元世界でタイムトラベルまで絡んできてのスーパーミラクルな展開。あまりにできすぎてて、並のディレクションだったら興ざめもいいところだけど、布石がしっかりしているのと、ドラマがちゃんと盛り込まれてるのと、着地があざとすぎないことで感動レベルに持っていくという神業。ちゃんとアン・ハサウェイも回収したしねー(ずいぶん住み良さそうな星だったけれど)。

いやしかし、SFでありタイムトラベルであり家族愛でありディザスターでありミステリであり、といった感じの1本で5度くらいおいしいスペシャルな逸品。本当に知恵熱出るので、両手あげてオモシロイデスオススメデス!と言えないけど、すごかったとだけは言えましょう。この人、記憶とか次元とか、そういうところにすごく興味があるんだね。この先どんな映画撮るんだろう。常人には理解の届かないところまで行ってしまいそうだぜ。(別記事読んだら、ノーランはケータイばっかり見てる人々に「空を見なよ」ってメッセージを届けたくて作ったんだって。それにしちゃスケールでかすぎるって)

ただひとつだけ。クーパー&マーフにNASAの座標を教えたのが未来のクーパーってのはタイムパラドックスを突破できなくないですかね。まあいんだけど、そんなことはさ。

<2015/05/19追記>
iTunesでレンタルして2度目鑑賞。もうさ、冒頭30分の入り方が神業すぎてほんと死にそう。この語り口の素晴らしさ、比類ないと思うわ。宇宙に入ってからは比較的落ち着くと思うのだけど、でもまったく飽きさせない3時間弱。やっぱり面白かったです。

が、結局初見と同じところが同じようにわかんなかったわ。重力のこと、ブラックホールのこと、相対性理論のこと、そして五次元世界のこと。で、おんなじようにタイムパラドックスはどうなってるんだろう?ってところを突き詰めることなくフィニッシュ。まったく次はいったい何を撮るんでしょうね、このスーパー天才監督は。

てかタイムパラドックスなんて別にないのか? 同じ時間軸だけど、クーパーにはものすごい時差が生じてすごい先の時代に一度行って、そこから地球にアクセスして、重力の謎が解けてマーフがすごいものを開発して、クーパーも自分たちも救ったってことか…? やっぱわかんね。なのにスゲーおもしろい。これって異常だよね。
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by april_cinema | 2014-11-22 00:00 | MVP


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