2015年 01月 17日
自由を奪われる苦しさよ。『ジミー、野を駆ける伝説』1月17日公開。10年ぶりに故郷アイルランドへと戻って来たジミー。静かな暮らしを望む彼だったが、周りはそうはさせてくれなかった。彼はかつてこの地にコミュニティホールを作り、文化芸術と親しむリベラルな思想を持ち込んだ男。今は失われた自由と希望を求める声に動かされ、ジミーはホールの再開を決断。しかし教会をはじめとした反対勢力の抵抗にあう。 ジミー、野を駆ける伝説 ケン・ローチ監督らしい、アイルランドの歴史を紐解く1本で、実在の人物の物語だそう。前後の歴史関係はよくわからないので後で調べてなんとなく補強するしかなかったけど、対英独立戦争があり、その後のアイルランド内戦があり、という時代で自由と平和を求める層と、旧体制を維持したい教会らとの対立の中で活躍したのがジミー。このあたりの知識があるとないとで映画の理解度だいぶ変わるな。僕はまったく知らなかったので、よくわからないけど若者に支持されるジミーと、それを押さえつける権力層という構図でした。まあ間違ってないけど文脈は知ってた方がより楽しめるよね。 アイルランドの田舎のホールが、若者たちの希望の光になっていく様が美しくて、歌い、奏で、踊り、語らう姿は生き生きと描かれる。どんな場所のどんな時代でも、芸術文化は若者の未来を明るく彩るものなんだなと。そう思うと今のネット文化ってどうなんだろうなんて思ったりもして。知ろうと思えばなんでも知れるけど、だからこそ知る喜び自体は薄まってしまっていて。普通になにもかもがある今の幸せをもうちょっと噛みしめないといけないね。そして、きな臭い匂いのする2015年の日本だからこそ、体制の怖さというのもあらためて感じる。何が正しくて、何が間違っているのか。よくよく観察しないといけないね。 映画ではジミーたちが自由を謳歌する時間はあまりにも短く、ホールはあっという間に押しつぶされ、そしてジミーは拘束される。母親の聡明さが光るけれど、それも悲しいエンディングへの助走でしかなくて、ますます苦しい。ようやく帰ってきた息子を再び失う母の気持ちを思うとなおさらに。 感動やインパクトは少ない小さな作品だけど、その小さな光が印象的な一本。今の日本だからこそ感じるものがありました。
by april_cinema
| 2015-01-17 00:00
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