2015年 01月 31日
やっぱり借り物ファンタジー。『繕い裁つ人』1月31日公開。神戸の街に立つ一軒家のお店「南洋裁店」。この2代目である市江が昔ながらの手仕事で作る洋服は、着る人を幸せにする一着となった。この洋服をブランド化したいと、デパートから藤井がやってくるが、市江は頑として首をたてにふらない。しかし市江には秘めた思いがあった。 繕い裁つ人 全然知らないけどマンガが原作だそうで、まあとにかくこの店主のキャラが中谷さんに似合うわー。頑固で職人気質、仕事はプロだけど私生活はずぼら。なんかイメージできますよね。中谷さんがそうというより、そういう役をオファーされる中谷さんてのがすごくぴったり。で、お話はマンガ原作にどうしてもありがちなエピソードぶつ切りタイプ。読んでないからわからないけど、いくつかの一話完結エピソードが連なっている印象で、映画としての主題がちょっと読みづらかったな。 市江は、先代の残した服とデザインの呪縛の中にいる。自分だけの、自分らしいデザインをしたい。でも自信も勇気もない。それを藤井が焚きつけるんだけど、その葛藤にもう少しリアリティが足りないんだよな。ケーキ大好きでひっそりとホールでどか食いする彼女のパーソナリティとはなんなのか。その一方で職人仕事を守る事への愛情やリスペクトを描きつつ、大人が装う楽しみとしての夜会が描かれたり、どれも単一のエピソードとしてはいい話だけど、それらを束ねたときにどこに向かうのかっていう軸が弱かったように感じたわ。 僕も服は好きなので、着飾ってパーティというのもけっこうウキウキする。だから、夜会という存在は素敵だと思うんだけど、劇中のそれはてんでリアリティなかったな。『ぶどうのなみだ』もそうだったけど、どうしてこういうファンタジーに落としてしまうんだろう。その安っぽさで僕の心はどうしても離れてしまうのです。残念ながら。 まとめ方によってはもっと素敵な映画になりそうな気がして、いろいろ惜しい感じ。偉そうにすみませんが。
by april_cinema
| 2015-01-31 00:00
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