人気ブログランキング | 話題のタグを見る
2015年 08月 15日
感想_あの日のように抱きしめて
感想_あの日のように抱きしめて_b0130850_1192922.jpg玄人やわ。『あの日のように抱きしめて』8月15日公開。終戦後、奇跡的に強制収容所から生還したネリー。友人のレネに連れ添われ、酷い傷を負った顔の修復に臨む。傷の回復後、ネリーは離れ離れになった夫ジョニーを探してベルリンへ。戦争の爪痕の残る町でジョニーを見つけるが、彼は顔の変わってしまったネリーが、妻だとは気づかない。しかも、あろうことか彼女に妻のふりをするよう頼むのだった。
映画「あの日のように抱きしめて」公式サイト

なかなかに重厚で渋いドラマだったなー。見応えはあるけど説明は少なく静かに進むから、かなり玄人好み。いろいろ前後関係とか予備知識を入れて、はじめてその重層感が伝わってくるなーという感じ。

まず、旦那がドイツ人であることは明言されなかった気がするけど、そこは知っておいたほうがいいような。離婚の理由も、ネリーが逮捕された状況も明らかにはされず、ジョニーは保身に走ったのか、それともネリーが口にしたシナリオが本当なのかはジョニーにしかわからない。けど、彼は生死のはっきりしない妻を探そうとはせず、お金目当てに離婚記録を取り消そうとしたのは確か。もちろん、そこにも戦後の悲惨な状況で生きるために止むを得ずだったのかもしれないけれど、どうなんでしょう。

最大のポイントは、ジョニー以外はみんなネリーを見て彼女がネリーだと認識したというところ。ジョニーはなぜネリーに気づけなかったのか。本当に一度も疑問を抱かなかったのか。だとしたらそれはなぜなのか。忌まわしい戦争の記憶とともに、自分のしたことから目を逸らしたかったからなのかな、やっぱり。過去を捨てて前に進みたかったジョニーと、過去を取り戻そうとしたネリーのすれ違いがあまりにも痛いね。ネリーはそれをようやく受け入れたラストでした。

前後関係もう少し教えてもらえるとより深くしめそうな1本。玄人好みのお仕立てでした。

by april_cinema | 2015-08-15 00:00 | Starter


<< 感想_クーキー      感想_彼は秘密の女ともだち >>