2008年 04月 18日
講演を聴いてる気分だな。『大いなる陰謀』4月18日公開。大統領選出馬を狙う議員のアーヴィング。かつて彼をホープと持ち上げた女性ジャーナリストのロスに、新たな対テロ戦争の軍事作戦をリークする。彼の作戦により、アフガンへと赴いた2人の若者は、敵前で孤立する。そんな彼らの恩師である大学教授マレーは、怠惰に日々を送る学生に、自らの意志で生きることを諭す。 大いなる陰謀 - オフィシャルサイト 講演とかディベートを観てるような気分になるような、ほぼひたすら会話劇。でもテーマはすごくしっかりしてて、しかもかなり真正面から向かい合ってるので、否が応でも考えさせられるんだよねー。すなわち、自分自身の頭で考え、そして自分の足で立ち、行動しているか? ってことを。 2組4人の視点を通して語られるのは、アメリカの対テロ戦争。政治家は、国家の大義に自らの野心を巧妙に隠す。ベテラン記者はジャーナリストとしての大義の前で揺れる。大学教授は若者たちの無関心を憂い、そして学生君は目を逸らしつつある事象と、事実目を逸らしている自分に気づいていく。テロに屈していいのか? 単純にそう聞かれれば答えは当然ノーだ。だが、その方法が戦争であってよいのか? それを黙認し許しているのは誰なのか? 今、まさに起きているこのできごとを通して、自分と社会とのかかわり方を説く、かなり硬派な作品。 さらに実際の戦場の視点をプラスオンすることで、そこには圧倒的なまでのリアリティがもたらされる。曖昧な正義のために確かに失われている命を前にして、オレらはそれを容認するわけにいかない。これだけ大きな規模で、この主張を描いたのはすごく意義深いね。まあ、あまりにもストレートなので、映像作品としては退屈してしまう部分もあるんだけれど。 お国が違うとはいえ、多分この映画から感じる距離感こそが、自分と社会の距離なんだと思う。遠く感じれば感じるほど、それこそが無関心を表しているんだろう。自分の目で見て、自分の頭で考える。しごくまっとうなこの作業を果たして自分はできているのか。改めて考えなくちゃいけないな。 面白い作品じゃないけど、意義は感じられる1本。娯楽としてではない鑑賞をどうぞ。
by april_cinema
| 2008-04-18 00:00
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