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2008年 05月 25日
感想_アモーレス・ペロス
感想_アモーレス・ペロス_b0130850_2333712.jpg考えれば考えるほどハマるなー。『アモーレス・ペロス』DVD鑑賞。メキシコシティで起きた交通事故。事故を起こしたのは、兄嫁スサナに惹かれ、彼女とともに街を出ようと計画していたオクタビオ。事故の被害者はスーパーモデルのバレリア。不倫相手との同棲が始まった矢先の悲劇だった。その様を偶然見ていたのはホームレス。彼は元反体制活動家。妻子を捨てて活動に走り、20年間の獄中生活を経て、今は暗殺者となっていた。3つのオムニバスで紡いだ愛と憎しみの物語。

いやーなんとも強烈なインパクト。しかしかなり深いというかメタファーが強くてすぐにはどう解釈していいかわからず。主要人物があまりにも鮮烈に、獰猛に描かれてるもんだから、なんといっていいのやら。そしてオムニバスを貫いて登場する犬たち。闘犬、ペット、野犬。人物と密接にリンクした犬たちの姿もまた考えさせられるんだわ。

犬同士が戦う様はそのまま人間同士が憎しみあう姿に重なるし、それどころか兄弟でいがみあう人間なんてそれ以下にすら思えたりもする。闇の中で出口を探してもがく姿は人間の愚かさや哀しさすら感じさせる。愛情をもって犬を保護したかと思えば、すぐに激情によって犬に銃を向ける。どんなに文明を築き上げたとしても、結局は感情に支配される人間。真理だなぁ。

でも最後にはわずかな救いを残すエピソード。救いってほどでもないけれど、後悔と愛情を絡ませた終わり方には、正の感情が残されていて、それもまた人間なのよね、といったところか。なかなか気持ちのいい映画ではないけど、アレハンドロが並の監督じゃないってのはわかるよね。

by april_cinema | 2008-05-25 00:00 | Starter


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