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2006年 09月 14日
感想_カポーティ
感想_カポーティ_b0130850_23531499.jpgアカデミー賞主演男優賞のフィリップ・シーモア・ホフマンが凄すぎる〜! その演技だけでも満腹な『カポーティ』9月30日公開。『ティファニーで朝食を』などで知られる名作家トルーマン・カポーティが、『冷血』を執筆する経緯を追った、半伝記的映画。
ソニー・ピクチャーズ - カポーティ 

「名作家」とか呼んでみたもののカポーティ本人の事を全然知らないから、似てる!と大絶賛されてる演技がどんだけ似てるかなんてわかりゃしません。変わり者だったことも社交界の寵児だったこともゲイだったことも初めて知りました。けどそれでも、フィリップの芝居の凄さはなんとなく伝わった。あの作り込んだ高音の喋りを聞いただけでも、説得力感じずにはいられないってば。

お話はノンフィクションノベル『冷血』のモチーフである猟奇殺人とその犯人との交流、そしてそれを通して数奇な運命に激しく揺さぶられたカポーティを描く。物語を終結させるために犯人の死刑を望み、一方では犯人の境遇に自らを重ね彼を死なせたくないという思いをも抱く。重苦しさのある描写の中で突きつけられるテーマは、創作とその犠牲(カポーティ自身も犠牲者)。毒だなーコレ。理性で裏切りながらも、本能では裏切れない。胸焼けしそうだ。

感動作でも娯楽作でもないけど、なるほどこりゃスゴイ。精神を破綻させるまで追い込まれながら、(自らの理性に従って)創作を選ばざるを得なかったカポーティ。観る価値ありの一作だと思われます。フィリップの存在感は『太陽』でのイッセー尾形と同種ですかね。

by april_cinema | 2006-09-14 00:00 | Starter


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